オスプレー(OSPREY) のディパックatmos25を昨年(2007)から愛用しています。昨年は大雪山系の主な頂に全て登頂してきましたが、そのときはいつもこのディパックが背中にありました。持ち重りせず背中が蒸れず腰痛持ちで汗かきのわたしには最高の登山用品でしたが、それでも幾つか不満は出てきました。
どんな製品でも長所だけではないのですね、短所もいっぱいあります。長所、短所を実際に使ってみた体験談を元に書いてみました。
短所
他のメーカーよりも価格が比較して高い
オスプレーのディパックで一般に言われていることは、同じ容量の多メーカーのディパックと比較した場合の値段の高さです。わたしのatmos25は名前の通り25Lで旭川の秀岳荘で購入しました。通常は1万5千円以上する商品でしたが、運良くわたしが購入した日にセール品に入っていて安く購入できましたが、それでも1万4千円余りの価格でした。他のメーカーの製品で25Lですと1万2千円前後が主流なので、セール品といってもまだやや高かったです。
容量が表示に比べて実際には入らない
atmos25は25Lの容量ですが、実際には25Lのスペースがあっても他のメーカーのディパックほど物を入れることは出来ません。これは構造上から来るのでやむ終えないのですが、全般的にオスプレーのディパックやザックは表示容量に比べて実際に入る物の量は少ないと言われています。
atmos25は日帰り登山用に購入したのでさして容量については不自由を感じていません。持参する物は雨具、水入れ(プラティパス(platypus)2L)ないしペットボトル500ml2本、携帯トイレ、登山ガイドブックないし地図、など比較的小さな物ばかりだからだと思います。
※写真はatmos25にTheNorthFaceの雨具を入れたところです。雨具は直径が15cmほどですが一杯一杯なのがおわかり頂けると思います。
4月(2007)に摩周湖にスノーシュートレッキングに言った時に暖を取るために温かい飲み物が欲しいので1Lの携帯式魔法瓶を持参しましたが、無理をしてやっと入るほどでした。これまで使用していた18Lのディパックなら余裕で2つでも入るサイズの魔法瓶でしたが、atmos25の形状が特殊なため、入れられる物の1つ当たりのサイズが限られているのです。
※写真は摩周湖の外輪山での休憩の様子です。左に立っているのが魔法瓶です。
山頂や途中の休憩でガスストーブでコーヒーを湧かしたり、あるいはカップラーメンや鍋焼きウドンを作ろうという方にはちょっとスペースが足りないかもしれません。カップ麺や鍋焼きウドンのカップの大きな物は入らない可能性があります。
長所
持ち重りしない
日帰り登山といっても水だけで2L、ガイドブックや雨具など他のものも入れると5kgは軽く越えるので、背中にしょって持ち重りしないディパックの方が良いに決まっています。オスプレーのディパックは口コミサイトや実際に使用している方のブログなどで、この点の評価がとても高かったので購入の動機の第一は持ち重りしないと言うことでした。
わたしは腰痛持ちのうえ肩がこりやすい質なので、肩と腰の双方でバランス良く背中の荷物の重量を支えてくれるディパックが必要でした。この点は実際に使用してみて理想的なディパックに出会ったと喜んでいます。
atomosシリーズはユーザーの体格に合わせてサイズが3種類有り、種類に応じて容量も変わってきます。わたしはがっしりとした体格なのでLサイズのatmos25がぴったりのサイズでした。
1つの製品で体格に合わせてサイズを選べるというのは、服や靴ならともかくディパックでは余りないと思います。どんな製品でもそうですが、自分の体格に有った物を使用すると疲労も軽減されます。
※写真はatmos25の取扱説明書兼カタログです。赤丸を付けてあるところにS、M、Lの3つのサイズと容量、重さが記されています。
腰や肩に負担をかけない理由のもう一つは、腰で支えるベルトの構造と肩で支えるショルダーの構造、および調整の方法です。
腰のベルトは幅広でがっしりと腰に固定できるように工夫されています。
肩で支えるショルダーも幅広なので、肩に面で重量をかけてくれるので負担になりにくくなっています。その上湾曲した構造で胸で支えるベルトの位置がとても調整しやすくなっています。
日帰りの登山でも天候や気温に応じて雨具を身につけたり防寒用のインナーを着込んだり、あるいは脱いだりしますがそれに応じて腰回りや肩のサイズが変わってきますが、調整も簡単に、しかもしっかりとする事が出来ます。
※写真はショルダーがわかりやすいように白地の布を巻いています。
どんなに暑い日の登山でも背中が蒸れない
汗かきのわたしにとって重要なのは汗で蒸れないことです。また発汗した汗が乾かずに衣類などを濡らし冷たくなって体温を奪うことがないようにすることも必要でした。
これまで使用していたディパックは背中に密着するタイプだったので、外気温が10℃を下回るほど寒くても背中だけは汗をかいてしまい、それが急激に冷えて背中を冷やしていました。やむを得ないのでシャツを2枚ほど持参して、シャツが濡れるたびに交換して、汗で濡れたシャツはディパックに掛けて干して乾かしていました。atmos25ではこうした心配は全くありません。
atmos25が大きな荷物を入れることが出来ない理由が実はこれと関係があります。背中がメッシュ構造となっていて、そのメッシュを保護するように軽金属(アルミニウム?)の骨格が台形型にはめ込まれていて、ディパックの内部を仕切っているので大きな荷物を入れることが出来ないのです。
その代わり、メッシュの部分にも荷物を入れることが出来ます。発汗した汗がここにたまるので湿気が多くなりますから、湿気に強い荷物に限られますが、雨具程度なら入れられる容量があります。もし湿気に弱い物を入れなければならない時は、ジップロックに入れた上でここに入れると良いです。
※わかりやすいようにオレンジ色の雨具(ゴールドウィンスポーツ製)を入れています。
入れやすいポケット類
一つ一つの容量は小さいのですが、ポケットが多数ありしかも使いやすく作られています。
上で紹介したメッシュの空間もその一つで、無駄なく使われるようになっています。写真の様にファスナーでメッシュ部分に荷物を入れることが出来ます。メッシュの部分にはカラビナが2つ着いているので、鍵などの小物をかけて置くことも出来ます。
防水ファスナーのポケットも着いています。atmos25自体は防水加工は施されていませんので、本降りの雨には対応できませんが小雨程度なら十分に中の荷物を雨から守ってくれます。
伸縮性のあるポケット。わたしは山岳ガイドなど直ぐに取り出したい荷物を入れています。伸縮性があるので、必要に応じて色々な物を一時的に入れることが出来ます。
左右の大型のポケット。写真では500mlのペットボトルを入れていますがすっぽりと入ってしまうほどの深さと大きさがあります。この部分の生地も上記と同じで伸縮性が有るので、ストックやステッキ、カメラの三脚などを収納することが出来ます。
腰のベルトに付けられたメッシュのポケット。容量は大きいのですが、腰回りに当たるので湾曲するのであまり大きな物を入れることは出来ません。でも大きな荷物を入れる場所でもないので問題は無いと思います。写真では携帯電話(カシオG'One)とGPS(ガーミンgeko201)を入れてあります(どちらも防水防塵製品です)。
開口部のファスナーがポケット全体にひらいて物の出し入れがしやすい上に、ファスナーの取っ手が大きく太い紐製のリングでしかも樹脂で保護されているので、とても使い勝手が良いです。小さな金属製のファスナーを使うメーカーも多いので、こうした細かな点に気を使って貰うと、わたしのように手の大きな人にとってはありがたいです。
わたしは通常、ここには写真の製品の他に、カメラ用の予備バッテリーと予備のSDカードなど直ぐに取り出したいものを入れています。メッシュなので小雨でも濡れますからここに入れる物は防水製品かジップロックのような防水の入れ物に入れておく必要があります。
ハイドレーションシステムを利用できます。プラティパス(platypus)のリザーバータンクとドッキングチューブを組み合わせたハイドレーションシステムを格納することが出来ます。わたしは最初、このポケットの意味が分からなかったのですが、大雪山で知り合ったベテランの登山家に「atmos25ならハイドレーションシステムに対応しているからペットボトルに水を入れて持ち歩くよりもよい」と教えてもらい早速購入しました。
ハイドレーションシステムのチューブはディパックの一番上の穴から出します。H2Oと書かれているので最初は意味が分かりませんでしたが、水の出入り口という意味でした。
写真の「O」印がチューブを固定するゴムの穴です。左右に2つずつ付いていて、自分の体格や使いやすさに合わせた箇所に固定することが出来ます。わたしは写真の様に向かって左の下に固定して使用しています。
大雪山に登っていてオスプレーのディパックやバックパックを利用している人が殆どいないのがちょっと寂しかったですね。やはり高価な点で敬遠されるのだと思います。
大雪山で一番多く見かけたメーカーはドイターとノースフェースでした。この2つよりやや少ないのがミレー。この3つはわたしも購入の際に比較しました。価格と機能のバランスがすばらしいディパックとバックパックを作っているメーカーでしたが、汗を逃すと言う点の機能を持たせた製品は、残念ながらありませんでした。
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追記:9/22(2008)に読みやすいように段落の変更を行いました。
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