昨年の6月(2007/6/24~26)に天売島と焼尻島に遊びました。
わたしが人に「北海道で一番良い季節は?」と問われれば6月と答えています。1985年から1987年と2005年から2007年にかけて北海道に住んだ経験から、これは間違いないと思います。
天売島と焼尻島の観光シーズンは7月からです。
6月はシーズンオフですから、観光シーズンよりも島と羽幌町の港を結ぶ船の料金や宿泊料金などが割安となります。島の名物ウニ漁の解禁が6月からなので、新鮮なウニをたっぷりと味わうことが出来ます。島中に花が咲き乱れる季節です。一番の魅力はウトウの60万羽の子育てを見られることです。運が良ければウミネコの子育ても見られるでしょう。
天売島と焼尻島に遊ぶなら、ぜひ6月に来てください。7月の北海道は蝦夷梅雨と呼ばれる季節で、以外と天候に恵まれません。原生花園の花も殆どが咲き終えてしまいます。北海道に遊ぶなら断然6月です。
天売島の事前情報
天売島と焼尻島に遊びに行こうと決めた後で、島の観光情報や宿の情報が驚くほど少ないことに驚きました。ぐぐってみても役立つ情報が全くありません。宿に宿泊した体験談もほとんど無く、料金も料理も宿の設備も五里霧中です。そのなかで、かろうじて宿泊体験で旅館オロロン荘が良かったと書かれているブログの記事を見つけました。たった1つの記事で旅館オロロン荘に泊まることに決め、予約を入れました。
天売島へは高速船とフェリーがの2隻の船が往復しています。高速船は料金が割高ですが1時間余りで島に着きます。フェリーは低料金ですが時間がかかりま。
このときは折りたたみ自転車を持参していたのですが、しっかりと輪行袋に入れたおかげで、高速船に手荷物として載せることが出来ました。
写真は高速船の「さんらいなぁ」です。いかにも速そうな外観をしています。船内は全て座席となっていますので、雑魚寝などはありません。快適な船旅を楽しめます。
わたしは往路を高速船、復路をフェリーに乗りました。
船旅が大好きなので、出来ればのんびりと時間を過ごせるフェリーで往路復路ともに乗りたかったのですが、時間の都合で往路は高速船となりました。
写真のフェリーは復路に乗船した「おろろん2」です。フェリーらしくゆったりとした船腹が頼もしさを感じさせてくれます。
ちなみに、車やバイクはもちろん、MTBやロードバイクなどを分解せずに車体のまま島に持ち込もうとすると、フェリーでしか乗れませんので注意してください。
参考までにわたしのフェリー体験記がツーリングトークのフェリーに有ります。北海道から沖縄まで、日本中で船旅を楽しんでいます。
天売島の港はとても小さく可愛らしいものです。港の埠頭には観光客相手のお店や食堂が数軒あります。
旅館オロロン荘へは事前に船の便と到着時刻を知らせておいてあるので、車で出迎えに来てくれていました。
港から旅館オロロン荘までの距離は1kmあるかないかなので、わたしなら歩いてもいっこうに気にならない距離です。
旅館オロロン荘の外観です。旅館と言うよりも民宿に近い建物です。中の部屋の作りも民宿でした。海まで100mほどの距離にあり、部屋は8畳ほどで、早朝には沿岸のウニ漁を一望できます。とても景観のよい部屋に泊まれたのは幸運でした。部屋によっては海が見えないそうです。
※旅館オロロン荘のページです。
初日の夕食です。通常料金6000円にプラス2000円を足したので、とても豪華な食事となりました。2000円の料金分はウニとアワビの刺身、毛ガニなどです。
写真3枚でやっと料理が全部写せました。
左の写真から、左上から毛ガニとウニの煮物の皿、左下がカレイの煮付け、和え物の小鉢が2皿。
中の写真は、上の皿がアワビとウニの刺身の盛り合わせ。下の皿が数の子。たくあん。
右の写真は、上の皿が大ぶりの甘エビとホタテ、白身の魚の刺身の盛り合わせ、下がホタテの稚貝のみそ汁です。おひつが写っていますが、おかわりは無制限のようで、わたしはおひつで3杯のおかわりをして、宿の女将さんをびっくりさせました。
わたしはウニが苦手で、オロロン荘のウニを食べるまで、ウニは不味いものだと思っていました。ここのウニは早朝に島の沿岸で採れたものを夕食に出すので鮮度が抜群です。しかも粒が驚くほど大きいので、味も格別でした。味に苦みがまったく無くとても甘いのです。生臭さもありませんでした。ウニがこれほど美味しい食べ物とは知りませんでした。
ここのウニを食べたので、帰宅後に行きつけの紋別の寿司屋でウニを注文したのですが、ホタテやカレイなどの地物は最高の美味しさの寿司屋でもウニはやはり苦みがあり、若干生臭さがありました。天売島のオロロン荘のウニがいかに美味しいかが、改めて分かりました。
もう一つ、甘エビもびっくりするほど大きなサイズです。味も甘みが強く、生臭さや苦みがありません。甘エビも苦手で関東では食べたことがなかったのですが、やはり本場の食べ物は美味しいのです。紋別の寿司屋の甘エビも美味しいのですが、大きさだけはオロロン荘の甘エビの半分くらいのごく普通のサイズです。
港を日本海の荒波から包んでいる岬の上に立つ灯台まで道が続いています。とくに何があるというわけでもないのですが、なぜか吸い寄せられるように灯台まで歩いていってしまいました。
夜の天売島と言えばウトウの観察が名物ですが、2泊するので初日の夜は港や岬の灯台を散策しました。灯台まで歩いた帰路に立ち寄った丘の上からは、眼下に天売島の港が見下ろせます。海を挟んで焼尻島の夜景が浮かび上がって幻想的でした。
翌朝から、持参した折りたたみ自転車に乗って天売島を走り回りました。島はゼンテイカの満開の季節を迎えていました。遠く利尻富士を借景に観るゼンテイカの満開の姿はとても美しいものでした。
他にも写真のチシマフウロウや、エゾスカシユリ、クサノオウ、オオダイコンソウ、オドリコソウが花を競うように咲かせていました。
天売島はウミネコの繁殖地です。
ウミネコの親子を運良く観ることが出来ました。
ウミネコの営巣地は断崖絶壁にあり、人が容易に近づけないのですが、展望台から一望することが出来ます。
この親子は翌日にも出会うことが出来ました。マダラ模様の雛がとても可愛かったです。
島を一周する道路の上もウミネコに占領された状態です。人になれているのか、自転車で近づいても、よほど近くまで寄らないと飛び立って逃げません。
ウミネコとカモメ(セグロカモメ)の区別ですが、外観は殆ど区別が付きませんが足が黄色いのがウミネコ、ピンク色がカモメです。大きさはカモメの方が2周りほど大きいので、並んでいると大きさで見分けがつきます。
焼尻島へ一直線に向かって下る道です。風を切る爽快感がたまりませんでした。
島は高低差があるので、自転車で走ると変化に富んでとても楽しいです。ただ、急な坂道が多いので、貸し自転車で走った観光客が何度も転倒事故を起こしているそうです。
日中のウトウの営巣地には、鳥の姿は一羽も有りません。
ウトウの雛は穴の中で親鳥のかえってくるのをじっと待っています。
親鳥は沖の海で雛のために餌となる小魚を採っています。
ウトウが巣に帰るのは日没前後になります。
2日目はウトウを見るために少し早めに夕食を採り、自転車でウトウの営巣地へと向かいました。
日本海に沈む夕陽が沈みます。
夕映えの利尻富士。
日が沈むのを待ってウトウの親鳥たちが帰ってきます。
フラッシュを使うとウトウの目を痛めるので、大型の懐中電灯でウトウを照らして撮影をします。
日が完全に沈むと、空を埋め尽くすほどの数のウトウが飛来してきます。その姿は圧巻です。
自然の掟です。
毎朝、巣から離れてしまったウトウの雛がセグロカモメやウミネコ、カラスの餌食となっています。わたしが早朝に営巣地を通ったときには2羽の雛が犠牲となっていました。
2日目の夕食です。海の幸をたっぷりと味わいました。
左の写真から、左上はホタテと野菜の鍋物、下の皿が白身魚の煮付け、和え物の小鉢が2皿。
中の写真は、昨日と同じくアワビとウニの刺身の盛り合わせ、下に蛸の和え物の小鉢とタクアン。
右の写真が白身魚と大きな甘エビとイカの刺身、和え物の小鉢、ホタテの稚貝のみそ汁。
味の説明はもういらないくらいの美味しさです。ただ、いかの刺身だけは函館の民宿で食べた半透明のイカ刺しが絶品でしたので、オロロン荘のイカ刺しはそれに次ぐ味です。これだけは今までで一番美味しかった!では有りませんでした(笑)。
夕食の豪華さと対照的に、あっさりとしているのが朝食ですが、一品一品は手間のかかった料理です。海苔と玉子と納豆という味気の無い朝食ではありません。
見た目よりもボリュームがあります。
忘れていました。朝食も夕食も一人の場合、部屋食です。二人以上の場合は1階の別室での食事となりますが、旅館やホテルのように大座敷で一緒くたに食事、ではありません。落ち着いてゆっくりと静かに食事を採ることができます。
オロロン荘の窓からウニ漁の姿を見ることが出来ました。
こうして採れたウニがわたしの夕食にのぼっていたのです。美味しいわけです。
採れたウニは早速漁港に水揚げされて、大きさなどで選別されます。
観ていて小気味の良さを感じます。
焼尻島にはこれといった観光の名所となるものがありません。島を2周しましたが、観光客は定期便の観光バス(マイクロバス)で廻っている人を見ただけでした。天売島に比べると実にのどかです。無料のキャンプ場が有りますので、時間を忘れて過ごしたいときに、一度訪れてみたい島です。
ヤギです。人なつこく近づいてきました。わたしの方をじっと見ているので何かが欲しいのかと思い、水をあげると喜んで飲んでくれました。のどが渇いていたようです。
焼尻島の中央部の広大な面積が牧場となっています。
ここの牧場で育てられた羊はサフォーク種と呼ばれ、食通の間では著名だそうです。
北海道新聞の焼尻産ラムという記事を見つけました。
小さな島とは思えない鬱蒼とした森林があり、その中を遊歩道が幾筋か通っています。訪れる人も疎らなようで、森閑とした雰囲気で好もしい小径でした。
焼尻島から羽幌港まではフェリーで移動しました。羽幌の港の港内に入ったとき、「ああ、旅が終わった」という一抹の寂しさを覚えました。
天売島と焼尻島の旅は1泊2日が良いと思います。わたしは体を動かすのが好きなので2泊3日でちょうど良かったですが、一般の人が天売島を自転車で1日に5周、さらに徒歩で1周もすることは無いと思います。天売島も焼尻島も1周は自転車でも2時間はかかりません。
島を一周してくれる観光バスもあるので、それらを利用すると、初日に天売島の日中を観光して、夜はウトウの観光、翌日は朝の天売港を観たり散策した後で焼尻島に移動。
焼尻島では、貸し自転車を借りるか、船が入港したときに下船した観光客を乗せて島を一周する観光バスがあるのでそれに乗るか、そのどちらかを選べば良いと思います。どちらを選んでも2時間はかかりません。
わたしは焼尻島は2周した後に島の中央の道を走ったり森林の中を散策したりしましたが、わたしの好みの森閑とした雰囲気の森でしたが、あえて他の人に廻ることを勧められる森の散策路でもありません。また、それなりの体力がないと散策も楽しくありません。
URL:「旅館オロロン荘」天売島のホームページの中に1ページだけオロロン荘があります。
Tel:01548-3-5529
Fax:同上
トイレは水洗です。
温泉ではありませんがお風呂がとても広々としていて、浸かっていて気持ちが良かったです。
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