10/18 2009に晩秋の那須岳を撮りに行きました。
前回の東北旅行でもEOS 40DとK-xの2台のカメラで撮り比べはしていたのですが、撮影条件がめまぐるしく変わったために、両機種で同一の設定でとる余裕が無く、K-xの設定を固定して、環境によってどの様に写り方が変わるかを調べました。
今回の那須岳登山では午前中は晴天、撮影条件に変化がありませんでしたので、キヤノンEOS 40DとペンタックスK-xの2機種を同一の設定にして撮影を行いました。EOS 40Dは昨年まで発売されていたキャノンの中級モデルです。設計は3年前と古いですが中古売買の相場では、これから発売されるK-xの販売価格とほぼ同じ価格帯になる機種です。K-xの売りの一つがワンランク上の中級機種に匹敵する性能を持っていることがあげられていますので、実際に中級機種のEOS 40Dと撮り比べてみればその違いがはっきりします。
結論から言うと、カメラ任せで撮影をするなら圧倒的にK-xの方が撮影が楽な上に写真の出来もよいです。優れた画像処理エンジンと絵のチューニングのおかげで記憶色(色を艶やかにすること)の写真がとれます。
逆にわたしのようにカメラの設定を変えることが出来るユーザーにはK-xのユーザーインターフェース(以下UI)と機能が物足りなく感じる場面がしばしばありました。
画像処理エンジンなどカメラの基幹となる部分はK-xの方が性能が良いのではと思われますが、あくまでも入門機種(エントリーモデル)なので、設定の幅がなくカメラ任せで撮影することを前提に設計された機種であることが分かりました。
初めて手にするデジタル一眼レフカメラ(以下デジイチ)としてはペンタックスK-xは現時点では最もお薦め出来る機種の一つです。お薦めする理由のK-xのボディーやUIに付いては、別途に記事を書きます。
PENTAX K-xとCANON EOS 40D比較レビュー
撮影の設定ですが、K-xの主なユーザーである初めてデジタル一眼レフカメラを扱う人を意識して、出来るだけカメラ任せの設定にしました。そのためにK-xとEOS 40Dで完全な同一の設定で撮影を行うことは困難になりましたので、ほぼ同じ設定になるようにEOS 40Dの設定を調整をして撮影をしました。
撮影モードは両機種ともAV(絞り優先)、ホワイトバランスは太陽光、露光補正は+-0です。
K-xとEOS 40Dの最大の違い。
K-xはAVモード、ISOオートの設定ではISOの数値が200から6400までカメラが自動的に変更してくれますが、ある程度の明るさまではISO200で固定されます。
EOS 40DはAVモード、ISOオートの設定では実質上ISO400に固定されます。特定の条件下でのみ100から800の間でカメラが自動で変更します。
このため、AVモード、ISOオートでの撮影では写真の写りがかなり違ってきます。こうした点も購入する際には知っておくと役立つ知識だと思います。
レンズの違いが大きく出ていると思います。K-xのレンズはキットレンズの廉価なものですが、EOS 40Dのレンズは17-85mm USMレンズで希望小売価格:¥87,000(税別)の高性能なレンズです。実売価格でも7万円前後と、このレンズだけでK-xが購入出来るほど高価なレンズです。
また、レンズの広角側の1mmの違いも大きいです。K-xは18mm、対してEOS 40Dは17mmです。わずか1mmのレンズの違いが実際にどの様に写るかも参考にしてください。
※写真をクリックすると800pxに拡大します。
シャッタースピードを同一で撮影
シャッタースピードをほぼ同じ速度にするために、被写体深度を深くとって調整しました。K-xの方がISOの値が小さく、EOS 40DのISOの値は400ですので、大抵はEOS 40Dの方が被写体深度が深くなっています。
那須五山の一つの朝日岳
K-xの写真です。
全体的に明るい感じで映されています。空の色は忠実色に近い色ですが淡すぎます。山の色は明るすぎます。
シャッタースピード:1/400
f/5.60
ISO200
焦点距離:200mm
EOS 40Dの写真です。
山肌の重厚感が良く出ています。空の色も忠実色にほぼ近い青を再現しています。
シャッタースピード:1/400
f/9
ISO400
焦点距離:17.00mm
朝日岳から見た茶臼岳
K-xの写真です。
やや逆光気味なので白っぽく写ってしまいました。茶屋の峠の稜線から山頂まで伸びる登山道や、頂の岩がはっきりと映されています。
茶屋の峠の左下の紅葉も良く写し出されています。
シャッタースピード:1/400
f/8
ISO200
焦点距離:18.00mm
EOS 40Dの写真です。
K-xの写真に比べるとやや青みがかっています。ピントが合わなかったのか、登山道や頂の岩がぼけてしまっています。
シャッタースピード:1/400
f/11
ISO400
焦点距離:17.00mm
絞り(f値)を同一で撮影
清水平の写真です
関東地方では珍しく1900m以下でハイマツが見られます。例えば同じ栃木県の男体山(2486m)や日光白根山(2578m)では山頂付近でも見られません。それだけ、那須岳の自然条件が厳しいことを表しています。
K-xの写真です。
手前の笹の葉から奥のハイマツまでピントが良く合っています。色合いもくっきりとしています。
シャッタースピード:1/250
f/10
ISO200
焦点距離:18.00mm
全体的にピントが合っていません。色合いもややくすんで写っています。
シャッタースピード:1/500
f/10
ISO400
焦点距離:17.00mm
三本槍ヶ岳を仰ぐ
那須岳五山の最奥の山が三本槍ヶ岳です。名前から槍のように鋭い頂を想像されがちですが、頂は小さな平となっていて山容もなだらかです。火山活動が古い時代に終えたために山全体を緑が覆っています。三本槍の名前の由来ですが、江戸時代に白河藩、会津藩、黒羽藩の三藩が端午の節句に国境線を確認するためにこの頂に登り槍を立てた故事にちなんでいると言われています。
K-xの写真です。
ピントがしっかりと合っていますが、色合いがややわざとらしく鮮やかすぎる色にチューニングされてしまっています。写真として印刷するのには良いですが忠実色とはかけ離れてしまっています。
シャッタースピード:1/200
f/10
ISO200
焦点距離:18.00mm
EOS 40Dの写真です。
全体的にピントが合っていません。色合いはほぼ忠実色です。これだけピントが合っていないと大判での印刷は無理でしょう。
シャッタースピード:1/500
f/10
ISO400
焦点距離:17.00mm
絞りを深くとる
大峠から流石山の稜線を見上げる
三本槍ヶ岳を通り過ぎ、那須連山の最奥部へと入ってゆきます。途中は会津中街道の古道の大峠があります。大峠を越え三倉山へと至る稜線があります。
K-xの写真です。被写体深度を20以上にとって撮影をしています。色のコントラストのはっきりとした写真となりました。
K-xは被写体深度を深くとるとシャッタースピードが極端に遅くなります。シャッタースピードが遅いと手振れが起きやすくなります。ISOの値を大きくしてくれれば良いと思うのですが、これはカメラ任せの撮影ですのでどうしようもありません。
シャッタースピード:1/50
f/22
ISO200
焦点距離:18.00mm
EOS 40Dの写真です
全体的にくすんだ色となっています。ピントも合っていません。それと空の青さが濃く不自然です。
シャッタースピード:1/160
f/22
ISO400
焦点距離:17.00mm
曇天の三倉山の稜線
午後にはいると急に雲が湧き出してきました。そして雷を伴った豪雨となりました。
用心のため、この写真を最後にK-xは防水袋に入れてザックにしまいましたが、正解でした。
K-xの写真です。
稜線の笹の葉が一枚一枚まで写し出されています。手前の笹の葉から奥のピークまで綺麗に映されています。ピークが雲にかげっているコントラストも良いです。
シャッタースピード:1/50
f/22
ISO200
焦点距離:18.00mm
EOS 40Dの写真です。
全体のピントが合っていません。色合いはくすんでいるように見えますが、ほぼ忠実色です。K-xと比べて雲の黒さが良く写し出されています。
シャッタースピード:1/160
f/22
ISO400
焦点距離:17.00mm
感想
AV(絞り優先)で撮影をしました。K-xの設定を優先して、EOS 40Dをそれに合わせたこともあり、EOS 40Dは満足のいく写真はあまりとれませんでした。
裏を返せば、K-xはカメラ任せでとる限り、一世代前の中級機種+高性能レンズの写真に匹敵する写真を撮ることが出来ると言うことです。
その代わり、撮影状況に合わせて設定を変えて写真を撮ると、思うとおりの色が出しにくいです。設定の変更はホワイトバランスや露光補正などに限るべきでしょう。
今回、改めてK-xのポテンシャルの高さが確認出来ました。自信を持ってお薦め出来るカメラです。
この記事について
記事で使用しているペンタックスK-xはAMNとPENTAXからモニターとして貸与を受けた製品です。
詳しくはペンタックス K-xレビュー&「デジタル一眼レフでブログが変わる!」ブロガーミーティング with PENTAXをご覧下さい。
移転について
この記事は別のブログに書いたものですが、そのブログを一時閉鎖することになりましたので、こちらのブログに移転することになりました。
わたし個人の所有のカメラ用品だけでなく、モニターとして貸与を受けた製品も含まれているので、削除するよりも移転して継続して掲載することにしました。
記事の入力された年月日は当時のままです。
2011/4/18
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