モビパークの原点|ツインリンクもてぎ 3/19 2010ブロガーミーティング

|

アジャイルメディア/ネットワークのブロガーミーティングとしての招待で「ツインリンクもてぎ」を初めて訪れました。
この日(3/19 2010)はモビパークの開園の前日なので、一般客はな無くわたし達の様な招待客かプレス関係者だけがモビパークを体験しました。

今回のブロガーミーティングはわたしにとっては多面的なイベントでした。このため、主記事は別のブログのうろぐに掲載しましたが、個別の項目はこちらのうろぐプラスで詳細にレビューを書きたくなりました。

MOBI PARKの開設の理由

本田技研工業とサーキットと遊園地の関係

始めに主催者代表挨拶としてテックプロ所長の大野さんから話がありました。
「ツインリンク茂木モビパーク」の責任者にあたる方です。
最初にモビパークや鈴鹿サーキットの遊園地について、なぜサーキットに遊戯施設を併設したのか説明がありました。遊園地の設置は本田技研工業の本田宗一郎氏とならぶ創業者のもう一人「藤沢武夫氏」の思いが原点です。藤沢氏は「レースを観戦するだけの施設ではサーキットはだめだ。家族全員で楽しめるために遊園地を設置しよう。」と考えました。
ツインリンクもてぎ モビパーク 開設 趣旨

鈴鹿サーキットの開設は48年前(1962年)にさかのぼります。当時は子供はもちろん、大人も自動車を運転した経験のある人は希な時代でした。わたしの父親が40歳を前にした1965年に免許を取得して1972年に自家用車を買おうとした経緯があります。それほど、当時の自動車という存在は庶民にとってはあこがれのモノでした。
その自動車を中心に、エンジンの付いた乗り物を「自分で操縦する楽しみを味わって貰いたい、子供の頃からエンジンに親しんで貰うことで未来の自動車環境の発展に寄与したい」施設として鈴鹿サーキットの遊園地はオープンしました。
ツインリンクもてぎ モビパーク 開設 趣旨

藤沢氏はテーマパークの視察としてディズニーランドにも足繁く通った人です。
ディズニーランドが「静」の世界一のテーマパークなら、ホンダが作るテーマパークは「動」の世界一を目指そうと考えました。

西日本に鈴鹿サーキットがあるのに対して、東日本には東京都日野市に多摩テックをもうけました。多摩テックは閉鎖されましたが、そのDNAを受け継いだのがツインリンクもてぎのモビパークです。

モビパークは鈴鹿サーキットの50年近い伝統にはかないません。また他社が運営するテーマパークとの差別化も図らなければビジネスとして成功しません。
そこで、単なる遊園地ではなく、人と自然とモビリティを楽しんでもらうスペースと位置づけをした上で、現代の子供が置かれている状況を学術的に分析して、子供と親に学んで貰いたいという背骨を通しました。

ツインリンクもてぎは今年、オープンから13年目を迎えました。

自然を残したサーキット開発

ツインリンクもてぎは敷地面積の7割の自然を残して開発されました。
建設計画が持ち上がった当時、わたしは茂木町にある事業所に勤務していたので、当時の状況を知っていますが、建設推進派と反対派がしのぎを削り、いったんは建設を白紙にするということがありました。建設推進派の理由は明白ですが、反対派の理由は「自然破壊を招く」「渋滞が地域住民の迷惑となる」「地元への経済効果が不明瞭」などでした。

このうち、渋滞はビッグレースの日にはむごいものですが、自然破壊を招くという点では敷地のうちの7割を残したと言うことで反対派に妥協をしたのだろうと思います。経済効果は限定的で、わたしが通勤をしていた当時の茂木町よりも街は寂れていますから、地域住民にはほとんど恩恵は無かったものと推測されます。

MOBI PARKと子供研究

子供研究。
わたしは始めて耳にした言葉ですが、子供のために「いまの子供が抱える問題点」「子供の健全な成長に必要なこと」「子供を夢中にさせるためには?」などを研究しているようです。

子供が抱える問題点

子供の気質の変化。
子供が情動を制御できなくなってきたために、いきなり切れる現象が多発する時代となってしまいました。
10年前と比べると暴力行為は3.8倍。
器物破損は20年前と比べて27倍。
不登校児や暴力行為が飛躍的に増えています。
いわゆる普通の子供が突然切れるようになりました。
「やはりあの子が」から「まさかあの子が」に変わってしまいました。言い換えればどの子供でも切れてもおかしくない状況になったといえるのかもしれません。

数十年前の育児環境。
祖父母と両親に子供の3世代住宅が当たり前でした。その上にご近所全体が子供の面倒見るという意識が高くありました。
ツインリンクもてぎ モビパーク 開設 趣旨

現在の育児環境。
核家族が当たり前となりました。その上に父親が育児に協力することが少なくなりました。近所とのつきあいもなくなりつつあります。
そのため、育児は母親だけが行うようになり、母親は外部からの育児の情報を得られにくくなったので雑誌などのメディアに頼るようになりました。この結果、母親は子供の個性を伸ばす教育ではなく、よい子を育てよとするようになりました。
ツインリンクもてぎ モビパーク 開設 趣旨

わたしの実体験から

この話はわたしの成長環境に照らし合わせると具体性があり理解できます。。
わたしは物心が付いた頃に父親と死別をしていますので、母子家庭で成長しました。外孫でしたので祖父母との同居もありません。
父親が死んで以降、父方の親戚とのつきあいはほとんど無くなりました。母方の親戚つきあいも、年上だったいとこたちが中学校に進学するとほとんど無くなってしまいました。

母親はわたしの育児方針を「あらゆる面でよい子」に育てることにしていたようです。小学校時代のわたしの成績はかなりよい方で通信簿5点採点で半分の科目が5、残りが4で、3は1つあるかないかという成績でしたが、母親は常にオール5を求めました。
特に記憶に残っているのが「ooちゃんはオール5」とか「ooちゃんは午前0時まで勉強をしているからいつも満点を取っている」からわたしに対してその比較した子供と同様のことを要求したことです。
ちなみに学力テストは100点以外は評価してもらえませんでした。たとえば95点の答案用紙を母親に見せると「1問間違えて惜しかったね」ではなく「この1問を間違えなければ100点だったのに」とか「この科目はいつも100点が取れないね」と責めるとも皮肉とも取れる言葉を受けました。

わたしは小学校から大学生にかけて読書が好きで、1ヶ月で山岡荘八の徳川家康 全26巻を読破するほどの子供でしたが、母親はそうしたわたしの読書好きを好まず、本を読むことをやめて勉強をしろとよく言われました。

また小学生の頃から好奇心が強く、自分で訪れたり操ったり分解したりして自分の目で見て確認しなければ納得のいかない子供だったのですが、これも母親の教育方針には合わなかったようで、よく怒られました。

今現在のわたしを見ると、こうした母親に矯められた個性で生計を立て、趣味を楽しんでいます。もし、子供の頃に「よい子に育てる」方針ではなく「個性を伸ばして育てる」方針でしたら、わたしはもっと面白い人間に育っていたと思います。

子供の環境は

子供の環境は
母子密着、コミュニケーション不足、学習塾など。多忙と疲労でまいっています。
一人で過ごす時間が多く、話し相手も半分の子は家族だけ、過ごす場所も7割が自宅、することと言えば一人でゲームをすることくらい。
習い事は大半の子供が塾に通っています。学習塾だけでなくスポーツ塾なども掛け持ちしています。習い事からの帰宅時間は午後8時過ぎがほとんど。これでは子供に時間的精神的な余裕は無いでしょう。

母親は?

相談相手がいないので育児不安となっています。
育児はメディア情報頼み。
先回り育児の早期教育。
母親密着で過保護に育て甘やかしてしまいます。

子供の育つ環境が悪い方へのスパイラルへとどんどんと移行していることがわかります。
ツインリンクもてぎ モビパーク 開設 趣旨

いまの子供が抱える問題点

母親の言いなりで自発性が欠如しています。
大人がオモチャを与え、子供が自ら遊びを創出する機会がなく、発想力が欠如しています。
集団遊びがなく、コミュニケーションが下手になっています。
母子密着のために甘やかされ、自己中心的な人格となっています。

似たような家庭環境で育ったわたしを比較に出すと。
母親には常に反発をしていましたが、父親がいないという経済環境や母親を一人にできないという気持ちは常に持ち続けていて、わたしのこれまでの生き方を拘束していました。今もそうです。
オモチャはかなり無理をして母親は買ってくれていたと思いますが、本来、自立心の強い性格に生まれついていたようで、自分で遊びを創出したりもしていました。
集団で遊ぶのは徐々に苦手となり、小学校の高学年になる頃には仲間はずれとなっていました。これは大学に入学するまで続きました。大学に入学して母親の手元を離れて始めて自己を自由に表現できるようになったからかもしれません。このため、小学校から高校までの長い子供の期間によい思い出はほとんどありません。
母親は密着をしたがっていましたがわたしが拒絶をしていたので、親子関係は常に緊張感を持っていました。いまもそうです。ただ、自立心が強すぎるためか、家庭環境からかはわかりませんが、自己中心的な性格なのは間違い有りません。

子供の健全な成長に必要なこと

子供に健全な成長を促す脳とは

前頭連合野には6つの役割があります。思考」「記憶」「他者理解」「情動制御」「行動抑制」「意志決定」です。子供の健全な成長を育むのには「自発性」「創造性」「社会性」が重要です。
自発性は意志決定と思考と行動抑制の3つから影響を受け、自ら考え決断し適切な行動をとることです。
創造性は記憶と思考から影響を受け、経験したことをベースに新しいものを考え出すことです。
社会性は情動制御と行動抑制と他者理解の3つの影響を受け、相手の立場を理解し干城と行動をコントロールすることです。
ツインリンクもてぎ モビパーク 開設 趣旨

脳は12歳で完成するので、12歳までが勝負です。

あなた自身の社会-スエーデンの中学教育書より

批判されてばかりされた子供は、避難することを覚える。
殴られて大きくなった子供は、力に頼ることを覚える。
笑いものにされた子供は、ものを言わずにいることを覚える。
皮肉にさらされた子供は、鈍い両親の持ち主となる。

しかし、
激励を受けた子供は、自信を覚える。
寛容に出会った子供は、忍耐を覚える。
賞賛を受けた子供は、評価することを覚える。
フェアプレーを経験した子供は、公正を覚える。
友情を知る子供は、親切を覚える。
安心を経験した子供は、信頼を覚える。
かわいがられて抱きしめられた子供は、世界中の愛情を感じることを覚える。

スエーデンの中学教育書は実に含蓄に富んでいます。
日本語にも「ほめて伸ばせ」とよく言われますが、現実として部下や子供をほめている回数よりも、しかっている回数の方が多いのが現状ではないでしょうか?

人は「肉体的な苦痛には耐えることができるが精神的な苦痛には耐えることができがたくできている」と言われています。人前で恥をかくことを日本人はいやがりますが、その一方で人のあらを探したて笑いものにしたり、皮肉の種にしたがります。もし、子供が信頼すべき対象である親や学校の先生から皮肉を言われたり批判をされたりしたら、その精神的なダメージは想像にあまりあるでしょう。

子供を夢中にさせるためには

子供が夢中になるプログラム

子供が夢中になる要素は「感じる(体感)」「競う(競争)」「真似る(模倣)」「創る(創造)」を経て、達成感と充実感を得ることです。達成して満足するレベルよりもより高く、感動するレベルにまであげることが必要です。
達成感と充実感を得ることで、自発性、創造性、社会性が育ちます。
体感、競争、模倣、創造の課程で、親子で協力をする、友達と協力をする、スタッフと協力をするなどで、コミュニケーションを図ります。
ツインリンクもてぎ モビパーク 開設 趣旨

ツインリンクもてぎが用意するもの「期待感」

クイックレーサーやゴーカートなどで子供が競う環境を用意します。
他人と競い合ったり、自分自身のスキルアップに磨きをかけたりすることで、勝つ喜び・負ける悔しさを感じて貰い、勝つための努力をして貰います。
ライセンスカードなどを発行することで達成感を満足から感動へとレベルアップします。
自発性、創造性、社会性などが育まれます。
ツインリンクもてぎ モビパーク 開設 趣旨

竹や樹木からモノをつくる、カートを骨組みから組み立ててみる、などの設備を用意しています。
ゼロからモノをつくる喜びを感じて貰い、考えること、工夫すること、あきらめないこと、努力することの大切さに気づいて貰います。できあがってからの達成感として様々なアイデアを用意しています。
ツインリンクもてぎ モビパーク 開設 趣旨

未来を担う子ども達が健全な成長をするために必要なもの

家族のコミュニケーション-母子密着とならないこと
市域社会とのコミュニケーション-友達と一緒に遊ぶ
外遊び-実体験を通じて、前頭連合野を活性化する
工夫をする-自分で遊びを創出する、創意工夫力が重要
健全な成長には自発性、創造性、社会性を育むことが重要
夢中になる要素-感じる、造る、競う、真似るが重要

MOBI PARKの開設の趣旨の感想

ツインリンクもてぎモビパークは「操る喜び」から子供と親に学んで貰うことを主としています。
わたしはこれまでサーキットはレースを観戦する場所と思っていただけに、併設された遊園地にこれほど奥深いテーマがかくされていたことに驚かされました。

モビパークのテーマは「親子で助け合う」です。
子供が夢中になる、家族で助け合う、この2つのことが体験できるテーマパークを目指しています。
子供は親の協力に感謝をする流れになることを目指しています。

乗り物としては多摩テックから移転してきた3機種を追加しただけかもしれませんが、新しいコンセプトの基にリオープンしたと言えます。
子供の育成教育に情熱を傾けています。

ただ、現状は空いているスペースが多く、発展途上という感じを受けました。
空きスペースが多いと閑散として薄暗いイメージをユーザーに抱かせてしまいます。早急に空きスペースを埋めないと、せっかくのコンセプトもユーザーの支持を得られないでしょう。

ツインリンクもてぎはモビパークを含めて遊園地をテーマパーク化する方向で動いています。
ハローウッズでは自然と人間の関わり合いを実体験できる設備が整えられています。
ホンダコレクションヒルズではASIMOのアトラクションや、歴代のホンダのレーシングマシーンや代表的な市販車の展示から最先端の水素燃料電池車の展示までを見ることができます。

モビパークは楽しく遊びながら学び取ってもらう場。
ホンダコレクションは機械の発展を学び取ってもらう場。
ハローパークは自然と人間の関係を深める場。
3つのエリアに分類したそうです。
今日からから春のオープンとなります。

今年の春の目玉は働くクルマの大集合。
カニクレーンの様な特殊な建設機械、ツインリンク茂木のレッカー車など珍しい働くクルマを紹介するイベントが用意されています。
子ども達に将来の職業感を感じ取ってもらいたい展示展開です。
わたしは以前に子供向けの文房具やオモチャの販売を担当していたことがあるのですが、そのときにミニカーの売れ筋が流線型のかっこよいスポーツカーやベンツなどの高級車ではなく、バキュームカーやゴミ処理車などの働く車だったことを思い出しました。
子供にとって魅力的な車は、大人の目線とは全く違っていると言うことです。春の「働く車代集合」はそうした子供目線のイベントですので、きっと成功すると思います。

この記事はレビューポータル「MONO-PORTAL」にトラックバックしています

ツインリンクもてぎ 記事一覧

  1. サーキットはレースを観戦するだけの場所ではなかった|オープン前日ツインリンクもてぎ「モビパーク」レビュー
  2. モビパークの原点|ツインリンクもてぎ 3/19 2010ブロガーミーティング
  3. ハローウッズのクローネ 体験レビュー|ツインリンクもてぎ
  4. モビパーク(MOBI PARK)FUN FUN LAB屋内施設 体験レビュー|ツインリンクもてぎ
  5. モビパーク(MOBI PARK) 体験レビューFUN FUN LAB屋外施設編|ツインリンクもてぎ
  6. ホンダコレクションホール (Honda Collection Hall)レビュー|ツインリンクもてぎ
  7. ホテルツインリンクの中華バイキングランチ|ツインリンクもてぎ

カテゴリ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.1

このブログ記事について

このページは、mizunumaが2010年3月20日 15:52に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「SONY bloggie MHS-CM5(ソニー ブロギー)レビュー」です。

次のブログ記事は「ハローウッズのクローネ 体験レビュー|ツインリンクもてぎ」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。