疑似遭難体験その3|晩秋の霧島山高千穂峰の暴風雨

|

わたしには信じられないような里山、あるいは標高差が少なく歩く距離の短い山での遭難事故ですが、このような状況下で起きるのかという実体験をしました。
場所は鹿児島県霧島山高千穂峰です。
高千穂峰

当日、わたしは午前中に開聞岳に登り、時間が余ったので高速を利用して高千穂峰に登ることにしました。
天候は雨、強風です。風速計がないので正確な風速は不明ですが、わたしの経験から15m以上あったことは間違い有りません。
気温は5℃です。風速1mにつき体感温度は1℃下がると言われていますので(湿度などによって変化します)、この日の体感温度は単純に割り切って言えば氷点下10℃を越えていました。

これがわたしの頂上での姿。
この程度の気候は慣れているので特に耐寒装備は身につけていません。
上半身はカッパと冬用のインナーウェア、タイツの3枚、下半身は下着とカッパとタイツとスパッツです。
さすがに山頂は吹きさらしなので寒く感じました。
高千穂峰

わたし自身は特に遭難するような天候でも登山道でもなかったのですが、気になっていたのが登る途中ですれ違った高校生と思われる数名のパーティー。
全員がカッパを着用せず、ゴミ袋に穴を開けて手足を出すという姿。下半身は雨に濡れるがまま。帽子を着用している人は1人か2人であとは雨に濡れていました。足下は、登山靴はもちろんトレッキングシューズを履いている人もいなくて、全員がスニーカー。

このパーティーとすれ違ったのは高千穂峰と御鉢の間のコル。太古に霧島神社があったと言われるところです。
わたしはこのパーティーが気になりながらすれ違いました。
高千穂峰にわたしが登り付いたときにはパーティーは御鉢を通り過ぎて見えなくなっていたのですが、胸騒ぎがします。
これがその場所。左上に小さく人が写っているのが見えます。
高千穂峰

山歩きになれているとはとうてい思えないので、御鉢から樹林帯までわたしなら30分ほどで下れるのですがパーティーのメンバーでは1時間近くかかるのではないか?
そんなに時間をかけて歩いていたら、あの装備では御鉢からの下りで体温低下で身動きができなくなるのではないかとい心配していました。

山頂が強風で寒かったこともあって早々に退散して下りました。
御鉢にたどり着くと案の定、途中でうずくまっている2人がみえました。悪い予感が的中です。
「1人ならわたしが負ぶって下山すれば済むのですが、2人ともなるとそうもいかないな」などと救出の方法を考えながら下ってゆくと、わたしが2人のそばまで来ると2人が起き上がり歩き出しました。
気になったので、わたしは歩くペースを落として2人の歩き方を見ていたのですが、しっかりとした足取りでした。すぐに樹林帯に入り風が遮られたので体感温度は0℃ほどのはずです。
ここまでくればもう大丈夫だろうと2人を追い越して下山しました。

高千穂峰への登山は、わたしの足なら2時間余りほどです。わたしは4時間以上を軽登山、6時間以上を登山と分類しているので、2時間余りの高千穂峰は登山には入らない山ですが、天候次第では山に慣れない人は遭難することを知りました。
この日の入山者はおそらくわたしが最後でしたので(14:12に入山、16:21下山)、2人が自力で歩けなくなっていて、わたしが登らなければ遭難していたと思います。当日の天候から夜を明かせば間違いなく凍死をしていたと思います。

山岳遭難は初心者からベテランまで誰にでも起こりえることですが、初心者の遭難は簡単に防げる場合がほとんどです。今回について言えば、天候を見切り、登山を断念すると言うことが最善でした。貧弱な装備と経験不足で暴風雨の中の登山は自殺行為といえます。

カテゴリ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.1

このブログ記事について

このページは、mizunumaが2010年4月 3日 11:34に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「雪に覆われた3月の筑波山登山」です。

次のブログ記事は「モーターボート&水上バイク展示会|栃木マリン 4/3 2010」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。