各峰は独立した構成となっています。紹介されている山は、北海道が羅臼岳、利尻岳、大雪山。東北が鳥海山、月山、八甲田山、早池峰山、飯豊山です。
羅臼岳
最初は北海道の知床、羅臼岳です。
羅臼岳の四季の自然を通して峰を紹介します。
出だしは知床の冬。
知床の冬と言えば流氷ですが、ここ数年ほど、流氷は北海道で見ることが珍しくなっています。
これが2007年2月に知床で見た流氷です。
流氷と一緒に渡ってくるのがオオワシとオジロワシです。
ビデオではオジロワシを紹介しています。
オジロワシの一部は留鳥として北海道で繁殖をします。殆どがオホーツク海沿岸に住むのですが、一部は釧路湿原にまで南下してきます。釧路湿原の塘路湖で、夏、オジロワシを見たことがあります。
知床のオオワシです。
ビデオでは取り上げられませんでしたが、沢山います。
春になると流氷は去り、麓から徐々に雪も溶けて行きます。
ビデオの中で水芭蕉の花が紹介されますが、オホーツク海沿岸は気温が低いので、平野部でも尾瀬湿原と同じ時期に水芭蕉の花を見ることが出来ます。
写真は汽水湖の網走湖の湖畔のミズバショウの群生です。
春の映像は一瞬で終わり、夏、7月のの映像となります。
羅臼岳に雪が全くなくなっています。
写真は知床峠から見た7月中旬の羅臼岳です。
羅臼岳への登山は、岩尾別温泉から羅臼岳に登り、そのまま硫黄山への縦走路を歩きます。
このルートは標高差1300mほどで、とても楽です。日の長い7月なら、日の出とともに出発をすれば昼過ぎには下山できます。
2010年9月に斜里町の町役場に羅臼岳登山について問い合わせたのですが、「硫黄岳の下山口のあるカムイワッカの滝までの道道は歩行者も含めて一般者の通行を禁止」しているそうです。
理由ははっきりとは言わなかったのですが、言葉の端々から世界遺産になったので来訪者が多いための様です。
通行禁止は2010年のみで、来年以降は「未定です」とも言っていました。
このビデオで紹介されている羅臼平?硫黄岳の縦走ルートはもちろん利用の制限はありません。しかし、硫黄岳まで行っても下山は出来ないので、また縦走路を引き返してこなければなりません。
岩尾別温泉からオホーツク展望台のある稜線まできつい勾配の道が続きます。
稜線にたどり着くと勾配は緩やかになります。
ビデオの登山者は皆、熊鈴をつけています。
この稜線に蟻の巣があり、ヒグマと出会う可能性がとても高いそうです。現地にその旨書かれた看板を見たのですが、後日、穂高岳で会った人に聞いたところ、この場所でヒグマと遭遇したそうです。
写真は羅臼岳登山道にある看板
ヒグマはとても賢い動物なので、人間の気配を感じ取ると自分から人に対して避けます。しかし、知床は国立公園でヒグマの駆除が行われていないことから、ヒグマが人間を危険な相手と認識しておらず、人を避けない個体が多くいると聞いています。
わたしも一度、ばったりとヒグマと会ったことがあります。音で逃げるだろうと過信しない方が良いです。
知床は約200頭のヒグマが生息しています。知床の生息地と阿寒湖の東側に広がる原生林はつながっているので、ヒグマが行き来をしています。
岩尾別温泉はオホーツク海側の登山道です。
ビデオの中で根元から曲がって生育したダケカンバが紹介されていますが、オホーツク海側の気候は日本海側とよく似ていて、雪深くあります。
7月に雪渓の残る涸れ沢。
わたしの登ったのは9月でしたので残雪はありませんでした。
雪渓がある沢を登り切ると、すぐに羅臼平になります。
広大な(と思われる)平ですが、ハイマツに覆われていて、登山道が切明となっているので、先の全く見えない濃霧の中でも道に迷う心配はありません。
羅臼岳の最後の噴火は600年前です。
羅臼平から山頂へは、しばらくはなだらかな斜面が続くのですが、やがて岩だらけの道となり、最後は岩をよじ登ります。
このあたりの登山道の風景は、ビデオでは描かれていません。
山頂は、「羅臼岳山頂」の標識があるので、「ああここが山頂か」と分かる程度の狭い岩の上です。
景観は、知床峠からオホーツク海側の風景も太平洋側の風景も見ているので想像は出来ましたが、ビデオでは羅臼岳からの眺望は撮されていません。雲で隠されたのかもしれません。
ビデオの中で知床連山の上を雲が流れていく様は幻想的です。
羅臼岳から硫黄岳までの縦走路をビデオでは歩きます。
切明があるとは言え、北海道でも最も人の往来の少ない登山道の一つですから、ビデオの中でもハイマツをかき分けながら歩いています。
途中でチングルマのお花畑通り過ぎ、ギンザンマシコと出会っています。ギンザンマシコは、日本では北海道だけで繁殖する鳥です。北海道の初夏から秋にかけての山で、比較的見かけることが出来ます。
写真は大雪山のギンザンマシコ。
硫黄山は白色をしています。
解説では、噴火の硫黄により漂白されたとのこと。
ハイマツで覆われた羅臼岳とは違う山容です。
最後に硫黄岳でのみ見られるというシレトコスミレが紹介されます。
めしべの形から、もっとも原始的なスミレの一種だそうです。
10月の秋の羅臼岳。
紅葉の山の中で、エゾリスが紹介されています。
このエゾリスは夏毛に見えます。10月ですと微妙で、エゾリスはまだ夏毛の場合があります。
夏毛のエゾリスは毛が短く体の線がはっきりと見えます。意外に筋肉質など動物であることが分かります。
冬毛のエゾリスは毛が長く、ふわふわしています。夏毛との一番の違いは耳の毛でしょう。ピンと立っています。
写真は9月下旬のエゾリス。まだ夏毛です。
これは11月上旬の冬毛のエゾリスです。
知床の川を遡る樺太マスと、マスを採るヒグマの映像で羅臼岳は終わります。
川を遡上するマスやサケは、人間が捕獲することが禁じられています。
「羅臼岳は大自然を身近に感じられる名峰」と言うナレーションで終わりますが、もっとも身近に感じられるのは知床五湖かもしれません。
知床五湖の遊歩道はヒグマが頻繁に出没しているからです。知床五湖へは何度も行きましたが、1度を除いてヒグマ出没の為に一の湖と二の湖しか見ることが出来ませんでした。
ビデオの中で春夏秋冬、撮されていた映像は知床五湖の一の湖の湖岸から見た知床連山です。
駐車場から遊歩道に入り、一の湖に出てから、ぐるりと湖を廻ると、湖越しに知床連山を一望できる岸辺に至ります。
この場所はヒグマは出ませんので、通行止めにもなりません。
写真は知床五湖から見た羅臼岳と知床連山。
鳥海山
二つ目の峰は秋田と山形の県境にある鳥海山です。
この山を、豊かな水を通して紹介しています。
鳥海山、山頂付近の県境が未定の山です。理由は水資源と聞いたことがあります。
ビデオの登山ルートは、秋田側の鉾立登山口から山頂を目指します。
鉾立登山口はよく整備されていて、大きな駐車場やこぎれいなトイレが整備されています。標高差は1100m。
夏の鳥海山を紹介しています。
鉾立登山口を入り、尾根渡りの石の階段を登って行くシーンで、登山は始まります。
尾根渡りを登ると石で作られた水路が出てきます。
大きな雪渓の雪解け水を、10km離れた山麓の水田にまで運んでいます。江戸時代に作られたそうです。
さらに尾根道を登って行くと鳥海湖が現れます。
火山の噴火口に水が溜まって出来た湖です。
ビデオでは鳥海湖の湖畔に咲く山の花を紹介しています。
鳥海湖の北がわの尾根には小屋と休憩所が設けられていますが、ビデオでは触れられていません。
先に進んで、雪渓歩きのシーンとなります。
8月でも雪渓は残っていました。
その雪渓の上にキセキレイが飛び回り、セッケイカワゲラと言う体長1cmの雪の上で生きる虫を食べています。そのキセキレイはノスリに狙われています。鳥海山の雪渓の上には小さな生態系があることを紹介しています。
ビデオでは、雪渓を登ると山頂はまもなくとなっています。
外輪山から新山を撮しているので、外輪山の最高所の七高山を経て、鳥海山の最高所の新山の下にある宿泊所に至ったのかもしれません。
鳥海山の山頂に泊まれることは、ビデオをみるまで知りませんでした。
鉾立登山口からなら、日帰り登山が当たり前と思っていましたが、山頂で泊まったのは、早朝に見られる影鳥海の為でした。
影鳥海とは、東から登った朝日が鳥海山を照らし、鳥海山の影が西の日本海に伸びて出来るものです。
山頂の影は、40kmも離れた海上にあるそうです。
山頂の山小屋。
一転して秋の鳥海山に変わります。
日本海からみた、天にそびえる鳥海山の山容を映して終わります。
利尻山
冬の利尻山の映像から入ります。
冬の道北地方は、自然環境は厳しいのですが、海沿いは北海道では比較的気温が暖かく、氷点下10℃以下には下がることは希です。
利尻山を、氷河時代からの咲いているヒナゲシを通して紹介します。
写真は3月下旬に稚内市ノシャップ岬から見た利尻島です。
3D映像では、北海道稚内と利尻島、礼文島の位置関係と、海面から1719mに一気にそびえる利尻山の様子がよく分かります。
登山は、フェリーで稚内から利尻島に渡るシーンから始まります。
写真は利尻島鴛泊港に入港したフェリー「ボレーアス宗谷」。
時期は7月上旬、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)が咲き乱れている原野の背景に利尻岳がそびえています。
ニッコウキスゲは尾瀬湿原や霧ヶ峰などで見られますが、本州では標高1000m以上で見られますが、北海道では標高0m、海岸線で見られます。
写真は6月下旬の北海道の日本海に浮かぶ天売島のゼンテイカの群生です。
利尻島の大半は人の手の入っていない原生林です。
その原生林の中を、鴛泊登山口から登ります。
六合目から視界が開けるとビデオでは言っていますが、鴛泊口登山道なら、五合目から視界が開けるはずです。
樹林帯からハイマツ帯に変わると、突然と言っていいくらいに視界が開け、鴛泊の街並みや港、礼文島や北海道が一望できます。
五合目の標識を過ぎる見える礼文島と鴛泊市街。
山頂直下のボタンキンバイの群生を紹介した後、ローソク岩を映します。
ローソク岩は縦に横に無数の亀裂の入っている岩ですが、ヒビはわずかの隙間に入った水が冬になると凍って膨張するために起こるそうです。
山頂の映像に変わりますが、山頂直下の、浸食が進む登山道の様子は映りませんでした。
利尻岳の山頂直下の浸食はむごいもので、登山道が数メートルの深さにまで削り取られています。
山頂にはほこらがあり、数名の登山者が休んでいます。天候はあいにくの曇天のようです。
山頂にはエゾツツジやシャコタンソウなどが咲いていますが、ヒナゲシは山頂付近の崩壊が進んでいる斜面に咲いていました。
リシリヒナゲシと言う日本で唯一の野生種のヒナゲシだそうです。この花を最後に峰の紹介は終わります。
利尻岳の山頂の祠です。
ビデオでは映像が流れませんでしたが、これが利尻岳の山頂から見た眺望です。
大雪山
年間の平均気温が氷点下という大雪山を、日本最大と言われるお花畑を軸に紹介しています。
3D地図では、日本でもっとも広い高山帯を持つ大雪山の山容が分かります。
登山道は旭岳温泉からロープウェーで姿見ノ池に上り、旭岳を越えて間宮岳分岐にいたり、御鉢平の東の縁を北海岳まで歩き、白雲分岐から高根ヶ原、化雲岳を経てトムラウシ山まで歩きます。延長30kmの縦走路です。
姿見ノ池の駅から旭岳に登ります。
地獄谷の噴気口。
列をなす登山者。すぐに金庫岩のある肩に映像は移ります。
姿見ノ池と旭岳。
ビデオの中の旭岳は人が多く歩いていますが、早朝、誰よりも速く登ればほとんど人気のない山頂を独り占めできます。
旭岳から間宮岳分岐に至り、御鉢平を歩きます。
ビデオではイワウメなどが紹介されていますが、花の季節の御鉢平の縁歩きで、間宮岳分岐から北海岳分岐の間なら、瓦礫に咲く黄色のスミレが満開なことが全く触れられていないのは残念です。
この写真は7月の花のシーズンの御鉢平の縁。背景は白雲岳。
この写真がエゾタカネスミレ。
また、北海分岐から降ってすぐにあるコルのお花畑も触れられていません。
コルからは白雲岳を見上げ、一面のお花畑を見ることが出来ます。
高根ヶ原は溶岩台地なので瓦礫が続きます。
瓦礫の上にはケシの仲間のコマクサが群生を作っています。
写真は旭岳山頂から見た高根ヶ原(左)と忠別岳(右突起)。
コマクサだけを食べるウスバキチョウの紹介です。
ウスバキチョウは、日本では大雪山でのみ、生息しているそうです。
高根ヶ原の溶岩台地を歩くと忠別岳に出ますが、ビデオでは映されていません。
忠別岳は高根ヶ原にできた一突起ですが、山頂にはハクサンイチゲの見事なお花畑があります。
写真は7月上旬の忠別岳の山頂。
忠別岳を越えると、五色岳にたどり着きます。
ビデオでは五色ヶ原も映されていません。
五色岳をすこし降ると、なだらかな傾斜の五色ヶ原になります。ここは一面のお花畑です。青い空がよく似合います。
五色岳を過ぎ、化雲岳も過ぎた湿地帯から映像は始まります。
エゾノツガザクラやチングルマのお花畑が紹介されています。このお花畑は日本最大だそうですが、わたしは残念ながらまだ見たことがありません。
ビデオの映像のトムラウシ山を借景としたキンポウゲの群生は見事です。
写真は化雲岳から見たトムラウシ山。
トムラウシ山の北の斜面のロックガーデンを登ります。
このルートは歩いたことはありませんが、山頂からみただけでルートの困難さは想像が出来ました。
ここで、ナキウサギが現れます。仕草がとても面白いので、このナキウサギの映像は見る価値があります。
トムラウシ山ではよく見かけることが出来るようです。
写真はトムラウシ山のナキウサギ。
ビデオではトムラウシ山の山頂から、旭岳からの縦走路を振り返ります。
9月の旭岳。日本で最も早い紅葉の映像。
真っ赤に色づいたチングルマ。
9月下旬の降雪で大雪山の紹介はおわります。
写真は10月初旬の旭岳。
月山
山岳信仰の祈りの風景をたどり紹介します。
登山道は出羽三山巡りのルートです。
羽黒山に登った後、車で月山の登山口まで移動します。
羽黒山の山麓にある宿坊は、わたしが初めて見た宿坊です。
その後、大峰山や戸隠山などで宿坊を見てきたので、見慣れてきましたが、最初に宿坊を見たときには不思議な感動を覚えた記憶があります。まだ山岳信仰が日本に残っていることに感動したのか、なぜ感動をしたのか分かりません。
羽黒山に登った後、月山の登山に映像は移ります。
どうも、登山と宗教の結びつきは苦手で、月山の紹介は退屈に感じました。
写真は10月中旬の月山です。
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追記
この記事はうろぐからこちらに移転しました。