NHKハイビジョン特集「日本の名峰」
NHK BSで放送された番組のDVD版です。
テレビで見た番組を改めてDVDで購入するとしたら業腹が立ちますが、オフィスにはテレビがないのでNHKに限らず番組を見ることが出来ません。
おかげでDVDで購入するのも抵抗なく出来ました。
一般の人がどのタイミングでこの番組を見るのかは分からないのですが、わたしの場合はすでに、紹介されている峰の大半に登っているので、他の人がどの様に峰を見ているのか、自分の感性と比較したいという思いが強くありました。
もう一点は、自然を取り上げる番組作りでは定評のあるNHKが、どの様に峰を紹介するかに興味がありました。
最初にどのディスクから見るか、少しだけ悩んだのですが、紹介されている峰で登ってない峰が多くある北アルプス編から見ることにしました。
登っていない峰が過半あり、白馬岳、常念岳、鹿島槍ヶ岳、立山、剣岳の五座です。
といっても、今年、北アルプスを2回ほど縦走しているので、この五座も山容は見ています。というか見ているはずですが、記憶にあるのは雨飾山から見た鹿島槍ヶ岳だけです。
どうもわたしは山岳眺望に関しては、深田久弥氏の様なしつこさはなく、小林秀雄氏と同じらしく、山頂にたどり着くと地図でいちいち山波のピークを確認することはなく、その景観のすばらしさを眺めているタイプの様です。
各峰の紹介は独立した構成となっています。
穂高岳は四季折々の姿を通じて紹介し、白馬岳は四つのお花畑を通じて紹介しています。このように各峰はそれぞれの特色を際立たせることによって、立体的に峰を身近に感じられるようになっています。
全編で109分なのですが、各峰の紹介が充実していて各々の峰ごとに1時間位に感じました。
峰の映像はどれもすばらしく、自分がビデオを撮影するときの参考になると思うのですが、空撮や3Dコンピュータグラフィックスを多用するのは「反則だ!」と思ってしまいました。
山の3Dコンピュータグラフィックスは直感的でわかりやすいのですが、山の傾斜が強調されすぎているので、実際の山の印象をゆがめてしまう恐れがある様です。
以下、ビデオを見ながら印象を書いています。
ビデオの印象だけでなく、ビデオで紹介されている峰の印象も書いています。
著作権の関係もありビデオの映像が使えませんので、ここに掲載している写真は全てわたしが撮影をしたものです。
できるだけ、ビデオで紹介されている映像に近い写真を掲載しました。
穂高岳
最初は穂高岳の紹介。
穂高岳の晩春、まだ冬景色の4月から始まります。
穂高の4月は氷点下10℃まで下がるとか。
わたしが以前に住んでいた北海道の紋別郡でも、4月では氷点下10℃までは下がらなかった様な記憶があります。
雷鳥の登場。
まだ冬毛で真っ白ですが冬毛の雷鳥の写真はないので秋の雷鳥で代替えです。ビデオと同じ穂高連峰で、10月に見かけました。
オコジョも冬毛で登場。
オコジョはまだ見たことが無いので写真がありません。
トムラウシ温泉で見たエゾクロテンで代用です。大きさはずいぶんと違いますが、おなじイタチ科の仲間なのでシルエットはそっくりです。
涸沢テント村が登場しました。雪の上に100張りくらいのテントがあります。
できればテントが林立しているシーズンには訪れたくないです。
これは10月の北穂高岳にあるテント場です。シーズンを過ぎているので数が少ないですが、登山シーズンには涸沢と同じ様な風景になるのかも知れません。
ビデオでは、涸沢の四季を軸にして穂高岳を紹介しています。
穂高岳と言うと涸沢が有名なのですが(日本百名山にも乗鞍岳の大野川、穂高岳の涸沢と書かれています)、わたしはまだ見たことがありません。
今年の秋に西穂から奥穂にかけて縦走したときも、奥穂についたときには雲のなかで何も見えませんでした。
わたしが焼岳から西穂、奥穂、北穂、大キレット、槍を縦走したのは10月の晩秋と言っても良い季節で、登山者も少なく、幸いに登山渋滞もありませんでした。
ビデオの涸沢カールは見事です。
再び雷鳥登場。
こんどは子連れです。
これが雷鳥の親子。雷鳥の雛はひよこの様な産毛に包まれてとっても可愛いです。写真の雷鳥は北アルプスの三俣山荘で見かけました。
秋。
涸沢の紅葉は、日本の山でもっとも美しい紅葉とナレーションが入ります。
しかし3日間しか盛期はないそうです。
昨シーズンは秋の気温が高かったせいか、穂高連峰の紅葉は今ひとつだった様に感じました。写真は10月の岳沢を見下ろしたところです。
白馬岳
ナレーターが明石勇さんから秋野由美子さんに代わります。この後はお二人が交互にナレーションを担当して行きます。
男性と女性の組み合わせなので、峰が代わるたびに新鮮にナレーションを聞くことが出来ます。
白馬岳は雨飾山や高妻山から眺めているはずなのですが、ピークが林立していてどれが白馬岳でどれが杓子岳でどれが槍ヶ岳なのか区別がつきませんでした。
鹿島槍ヶ岳だけは双耳峰なのではっきりと分かったので、その北にある厳つい岩のピークが五龍岳、そのさらに北にあるピークの固まりが白馬三山なのだろうと勝手に想像していました。
写真は雨飾山から見た後立山連峰。左端が双耳峰の鹿島槍ヶ岳です。
白馬岳も雪景色から入ります。
冬山は怖いのでまだ登ったことがありませんが、映像で見ると、なるほどすばらしい景観です。
冒頭で東の斜面と西の斜面の雪の付き具合を解説しています。
西の斜面には風のために殆ど積雪が見られず、逆に東の斜面には多量の積雪が見られます。
これが東の斜面に三つのお花畑と大雪渓が出来る元となり、西の斜面にガレ場ができコマクサの群生が育成する元となっているのです。
白馬岳と言えば大雪渓が有名ですが、人が数珠つながりに登っていく様が紹介されています。
想像はしていたのですが、想像以上の人出です。今シーズンは白馬岳に登るつもりでいるのですが、この人の多さを見てしまうと大雪渓ルートは遠慮したくなります。
第一のお花畑は標高2200m。
ソロウマアサツキ。アサツキと言うからネギの仲間のようです。花も葱坊主を淡い上品な紫色に染めた様な色をしています。
第一のお花畑は小さいらしくあっという間に終わってしまいました。
第二のお花畑はミヤマキンポウゲから紹介されました。
他にハクサンフウロウ、タカネナデシコや
ハクサンイチゲ(大雪山で撮影)
クルマユリ(大雪山で撮影)
など。
ここは稜線の下にあるので強い風が吹かず、背の高い高山植物も花を咲かせるそうです。
かなり大規模はお花畑の様です。
第二のお花畑を過ぎると2800mの稜線に出ます。
2800mの稜線に立つと、少し先に山小屋が見えてきます。
山頂直下に山小屋があります。
白馬岳の山頂直下の山小屋は、深田久弥氏の随筆を読むと、昭和10年頃にはもうあった様です。100年近い歴史があるようです。
白馬岳の第三のお花畑は2800mの稜線上にあります。
吹きっさらしの稜線の瓦礫の上に高山植物が花を咲かせています。
こうした風景は北海道では見慣れていたのですが、内地の山を主に登る様になってからはご無沙汰していました。
白馬岳には250種もの高山植物があるそうですが、6月から8月にかけての花のシーズンに登ってみたくなりました。
第三のお花畑はわたしにもなじみの花が多くあります。どの花も丈が低いのが特長です。雪解けの後の短い時間で花を咲かせなければならないので丈が低くなるそうです。
ハクサンコザクラや
アオノツガザクラ(十勝連峰で撮影)
クモマグサ(「チシマクモマグサ」北海道大雪山で撮影)
最後は白馬岳の山頂を越えて西側の斜面の第四のお花畑を紹介します。
最初に述べた様に、強風が雪を吹き飛ばしていた瓦礫の斜面です。
第四のお花畑は「高山植物の女王」のコマクサ。
わたしは、北海道でコマクサの大群生を見慣れていたので、内地ではコマクサの咲いていることがそもそも珍しいと言うことに容易になじめませんでした。(大雪山で撮影)
ウルップソウ。大きく湾曲をした肉厚の葉っぱで霧の水滴を蓄えています。(大雪山で撮影)
イワベンケイ。寄り添うことで寒さや感想から身を守っています。押しくらまんじゅうとはうまい表現です。(「ホソバイワベンケイ」大雪山で撮影)
白馬岳の高山植物の花の映像を見ていると、無性に山の花を見たくなってきます。
北海道では標高1800m前後の山で見られた高山植物も、内地の山では容易に見られません。
鷲羽岳
わざわざタイトルに黒部源流と書いてあることで、鷲羽岳が日本の名峰である理由が分かりました。
鷲羽岳は三股山荘から鷲羽乗越を越えて水晶岳へ行く途中に頂を踏んだのですが、どこが名山なのかぴんとこない山でした。
写真は鷲羽乗越(手前)と鷲羽岳(奥)。
これはわたしの好みなのですが、山容では三股蓮華岳の方が気に入っています。どっしりと根を張った様な頑丈で重厚な山容が好きです。
山容だけではなく、黒部川の源流に位置する山。また、北アルプスで最も奥深い山として名峰の名があると分かりました。
写真は鷲羽岳の中腹から見た三俣蓮華岳。
黒部川を遡ります。
いわゆる沢登り。
黒部峡谷鉄道の終点から先は、黒部ダム建設の際の道を歩きます。下の廊下と言うそうです。
幅は50cmほど。断崖絶壁に設けられた道をしばらく歩きます。
黒部峡谷に道があるとは知りませんでした。
黒部ダムから先は上の廊下。
地図を見ると、登山道は描かれていません。
沢登りと言うよりも、沢泳ぎです。川の中で飛び跳ねて向こう岸の岩に抱きついたりして先に進みます。
穂高岳のロッククライミングのすごさはわかりやすいのですが、黒部峡谷の沢登りも凄いです。
イワナとハコネサンショウウオの登場。
こんな最上流部に生息していると言うことが驚きです。
写真は雨飾山で見かけたイワナ。
黒部川の源流部。
V字谷の積雪は10mを超えるそうです。
その積雪が黒部川の源となります。
写真は鷲羽岳の稜線の登山道とほぼ平行して通る、黒部川源流の谷の道です。正面には三俣蓮華岳が見えます。
最初の一滴がしたたり落ちる標高2640mの沢。
一般には登山道以外を歩くことは禁止されているはずなのですが、どうやってここまで登ったのか不思議です。
テレビ番組の撮影で特別の許可をもらったのかと考えてしまいました。
写真は「黒部川水源地標」と刻まれた石。
槍ヶ岳
穂高岳の次に来るのが順番としては自然な気がするのですが、あえて順を変えたのでしょう。
槍ヶ岳は北アルプスの十字路に位置しているとか。
確かに槍ヶ岳の南にある中岳から見ると、東鎌尾根と西鎌尾根が鋭く伸びています。
写真は中岳から見た槍沢と東鎌尾根。
槍ヶ岳の紹介は、上高地から槍沢を経て登って行く様子で行います。
上高地は焼岳から見たことはありますがまだ歩いたことがありません。
槍沢も穂高岳から槍ヶ岳へ通じる稜線を歩いたときに見ただけです。
写真は大喰山と飛騨乗越のあいだから見た槍沢と東鎌尾根。
上高地というと観光客であふれかえっている印象を持っていたのですが、ビデオによるとニホンザルやツキノワグマが生息しているそうです。
写真は焼岳から見た上高地と穂高岳。
わたしは槍沢とは東西逆の飛騨沢降ったのですが、どちらも見事なカールです。
穂高からの稜線を挟んで鏡に映した様に似た景観をしています。
槍沢は上高地があるので人が晩秋でも多くいましたが、飛騨沢は歩く人もなく深閑としています。
写真は飛騨沢のカールです。
飛騨沢の道は飛騨乗越に通じていますが、槍沢の道は槍ヶ岳の肩にある山荘に通じています。
大喰岳あたりから槍ヶ岳を見たときに、山頂直下に山荘があるので驚きました。
写真は槍ヶ岳の小屋付近から見た槍沢のカールです。
山頂小屋で朝を迎えた後、槍ヶ岳の山頂へ登ります。
山頂小屋から槍ヶ岳の山頂はすぐで、岩の壁を登ります。
写真は槍ヶ岳山荘と山頂。
山頂に到達すると画面が変わり、南の穂高岳へ通じる稜線の紹介となります。
空から撮影した映像で奥穂岳から涸沢岳、北穂高岳を経て大キレットを越えます。
映像を見るとかなりの難所であることが分かるのですが、実際に歩いていたときは、西穂・奥穂に続いてまた岸壁の上り下りかとがっかりしましたが、難所には鎖やはしごが設けられいるから楽じゃないかと、思いながら歩きました。
ビデオでは「雲の上の縦走路」は2つ日の行程と言っていますが、わたしは北穂でテント泊をした後、大キレットを歩いてから槍ヶ岳に登り飛騨沢を降って新穂高温泉にまで下山しました。歩きようによっては1日で奥穂から槍まで歩けるようです。
写真は鏡池から見た槍ヶ岳(左)と大キレットです。
ちなみに、日本の名峰DVD BOXのカバーの写真は大キレット越しに見た槍ヶ岳です。
写真は大キレットの手前から見た槍ヶ岳。
槍ヶ岳を四方から眺めた映像が流れます。
南東、北東、北西(水晶岳か?黒部源流域からの眺め)、南西(笠ヶ岳)。それぞれの方角から槍ヶ岳を見ています。
写真は鷲羽岳から見た槍ヶ岳。手前が鷲羽池です。
常念岳
北アルプスに合計6日間もいたのですから常念岳は見ているはずなのですが、常念山脈が膨大すぎてどれが常念岳なのか分からないままに歩いていました。
安曇野を車で走っているときも、「あのあたりが(多分)常念岳なのだろう。」と考えていました。
登山の計画は何度も立てたのですが、時間的な都合で今年は果たせないで終わりました。
ただ、このビデオを見ると、端正なピラミッド型の頂があり、片方に常念乗越と呼ばれる鞍部がある山が常念岳と分かるようになりました。
北穂高岳の山頂付近から見た早朝の常念岳。
常念岳は高山蝶を紹介することで山も紹介しています。
蝶興味がないので、この峰はすこし退屈を感じました。
山行は7月です。
胸突き八丁の登山道を上ります。
途中の木の根元にゴゼンタチバナが咲いていました。ビデオでは「森の妖精」と紹介されているのですが、北海道を登山のホームグラウンドとしているとゴゼンタチバナは嫌と言うほど見かけます。ぺんぺん草よりも見かけるので、わたしも最初の頃は喜んで写真に収めていたのですが、3回も山に登ると、いつも満開のゴゼンタチバナは珍しくなくなり殆ど撮影しなくなりました。
写真は大雪山のゴゼンタチバナ。
常念乗越から見る常念岳は美しく登山意欲をそそられます。
常念乗越には曲がった木が多くあるのですが、理由は常念山脈の鞍部の常念乗越に風が集中しているからだそうです。
ミヤマモンキチョウ。
幼虫のママ一年を過ごした後、サナギになるそうです。
幼虫の天敵が少ないのでしょうか。そうでないと高山に生息する意味もなさそうです。
別名は「山の娘」。
タカネヒカゲ。
別名は「這松仙人」。
ハイマツに身を潜ませて、強い風をやり過ごすそうです。
幼虫のママ二冬を過ごし3年目に蝶になります。
鹿島槍ヶ岳
深田久弥氏が「好きだ好きだ」と書いているのを読んでいるわけではないと思いますが、登ってもいないこの山をあちこちで見かけわたしも好きになりました。
魅力は双耳峰と釣り尾根のようです。
登山ルートは扇沢から入山して爺ヶ岳を経て鹿島槍ヶ岳までの稜線を歩きます。
北アルプス随一の展望が楽しめる稜線歩きだそうです。
稜線の上にはハイマツの海があります。
ハイマツにはホシガラスが...。
写真は穂高岳のホシガラス。
立山
この山もまだ登っていない山です。
山頂下までトロリーバスで行けてしまう様な山はと、気がそがれていました。
登山は初夏の6月、立山町側から登ります。
称名の滝、美女平、餓鬼の田を経て行きます。
そして室堂にたどり着き、立山三山の雄山の登ります。
剣岳
剣岳は剣沢から山頂を目指す山行きを通して峰を紹介しています。
このルートはわたしが計画しているルートと重複をするので、登る前に見ない方が良いと判断して、見ていません。
山一つくらいは登った後で見るのも良いかなと思っています。
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追記
この記事はうろぐからこちらに移転しました。