高尾山-陣馬山 縦走

|
-陣馬山 縦走

高尾山口から登り始めて高尾山を経て陣馬山まで歩くルートで「縦走登山」と呼ばれるのは、「高尾山口駅-高尾山-陣馬山-栃谷尾根道-藤野駅」のルートが一般的なのではないかと思います。
このルートを歩いたのは高尾山を歩く2回目でした。初回は11月下旬でまだ日差しが残っていたのですが、冬至を過ぎた12月下旬になると日は驚くほど短くなり、とても高尾山と陣馬山の往復が出来そうにありません。陣馬山までは歩きたかったので、地図を見て陣馬山から藤野駅に降るルートを見つけて歩くことにしました。

距離の内訳と標高

高尾山口駅から陣馬山までは13kmあまりの距離です。
陣馬山から栃谷尾根を歩いて藤野駅まで7.4kmです。
標高差は高尾山口駅から陣馬山までが672m。

    距離

  • 高尾山口駅から6号歩道を経由して高尾山まで3.1km
  • 高尾山から景信山まで4.4km
  • 景信山から陣馬山まで5.7km
  • 陣馬山から栃谷尾根経由で陣馬山登山口バス停まで5.5km
  • バス停から藤野駅まで1.9km

  • 標高差は672m

  • 歩き始めの高尾山口駅が標高185m
  • 高尾山の標高599m
  • 堂所山の標高733m
  • 陣馬山の標高857m

  • 時間

  • 高尾山から陣馬山まで4時間47分
  • 陣馬山から藤野駅まで1時間17分

  • 登山データ

  • 日にち・2010/12/25
  • 歩いた距離・20.4km
  • 歩いた時間・6時間47分

高尾山まで

12月も下旬となると朝の明けるのが遅く、午前7時でも薄暗いです。目覚ましは景気よく午前6時になり出したのですが、目を開けると真っ暗です。暗い中を起き出すというのはつらいものです。しかも寒い。部屋の中がこれほど寒いと外は氷点下ではないかと考えると、もう少し寝ていたくなります。7時過ぎに薄暗さがようやく取れて、寝ている言い訳のうちの暗いがなくなってしまったので、寒い寒いと言いながら身支度を調えにかかります。

いつもの通り、マウンテンバイクで高尾街道を北西に進みます。
この道は往路が登り勾配なので、登山口にあたる高尾山口駅に着く頃には、太ももの裏側の筋肉が痛くなってきます。その代わり、疲れ切って山から下りてきた時には、復路はペダルを漕がなくても前へ進んでくれるのでとても助かります。

8:15に登山の開始。京王線高尾山口駅の駅前では、様々なグループが待ち合わせをしていました。
一番に目に着いたのは三脚を着けた望遠鏡を持ったグループで、一目でバードウォッチングと分かります。まだこのときは高尾山の2回目で、バードウォッチングができるほど野鳥が多くいることを知りませんでした。この後、何回も高尾山とその周辺の山を歩いて様々な鳥を見ることが出来ました。
紅葉も終わり、リフトやケーブルカーの行列は終わっていました。

前回が稲荷山歩道だったので、今回はほぼ山頂まで平行して登る6号歩道を歩くことにしました。
6号歩道は小さな沢に沿って登る谷あいの道なので、日が差しません。
薄暗い上に寒く、快適な道とは言えません。

しばらく歩いていると後に人の気配を感じたので振り向きました。すると凄い速度で歩いてくる人が数名います。グループで歩いているわけではないようです。
登山慣れしている人にも見えません。服装はごく普通のジャケットを着ています。
ただ、足下だけがトレールランニング(略称トレラン)用のシューズを履いているのが目にとまりました。
あっと言う間に見えなくなるくらいの、走るような速度で登っているので、その脚力に驚いていたのですが、どうやら山頂で働いている人のようだと思い至りました。
毎日歩いているので、脚力がついているみたいです。

6号歩道は稲荷山歩道と比べてもさほどに変わらない、登山道に似た道です。
沢があって道が湿り気を帯びている分だけ歩きにくいかも知れません。
後にこの道も数回歩くことになるのですが、日中の6号歩道はとても混んでいます。途中で立ち止まってしまう人がいたりして容易に先には進めない道であることを知りました。

高尾山には9:30に着。山頂の空気は澄んでいて、透き通るような富士山を見ることが出来ました。
9時半という事で、登ってくる人もまだ少ないようです。静かな高尾山を楽しめました。
今回は高尾山の登山道の様子をビデオカメラに収めながら登ってきたので、ずいぶんと時間がかかりました。写真なら数十秒でカメラをバッグからだし、構えて構図を取り、シャッターを押したらまたしまう、という一連の動作が出来るのですが、ビデオカメラの場合は、ビデオを撮影している時間の間はどうにも出来ないので、カメラよりも時間がかかるのです。

京王線高尾山口駅
バードウォッチングのグループが集合中でした。
高尾山のケーブルカー駅
寒い早朝はすいているケーブルカー乗り場

6号歩道
ケーブルカー乗り場の脇の車道を上流へ歩いて行くと6号歩道の入口にあたります。
6号歩道
歩き始めの頃の沢は水量が豊かです。

6号歩道
沢に降りられる箇所が幾つかあります。
6号歩道
沢を渡る小さな橋。

6号歩道
木の根が張り出した路面。けっして歩きやすい道ではありません。
6号歩道
沢の最上流部。登山ならさしずめ「00沢の源頭」などと事々しく名前が着けられるところです。手軽なハイキングで沢の最上流まで歩けるのも高尾山の魅力の一つです。

6号歩道
山頂の下の上り階段。
6号歩道
高尾山の頂を巻いている歩道と合流をしました。右でも左でも山頂へ出られますが、右に進んだ方が楽なルートでした。

高尾山の山頂
高尾山の山頂と書かれた標識。見晴台から見るとちょっと奥にあるので、山頂が混んでいる時でもこの辺りには人がまばらに視界ないことがほとんどです。
富士山
山頂の見晴台から見た富士山。すこし雲がかかっていました。

小仏城山まで

高尾山から先に進むと、最初にびっくりするような長い階段を下ります。
もみじ台までくだると、もう一度長い階段を降ります。降った後には登らなくてはならないので、「下りは楽だ」と言いながら降るわけにも行きません。

稜線歩きとなると、標高が高いからか、歩道のあちこちに霜柱が立っていました。
子どもの頃、学校に通う時に霜柱をザクザク踏むのが好きだったことを思い出して、童心に返りました。シモバシラを踏みながら歩いているので、いっこうにペースが上がりません。

登り道の上にある一丁平。
ここからは西麓から頂にかけて雲のかかった富士山が見られました。

小仏城山には10:20着。気温が低い冬期、空気が暖まる前の午前中だったので、小仏城山から都心のビル群が一望できました。

高尾山から陣馬山までの到達時間
高尾山の山頂からの所要時間が書かれた案内板。ハイカー向けです。登山になれた人だと2/3の時間です。
もみじ台
もみじ台。地面が霜柱で白くなっていました。

一丁平の登り
高尾山から100m以上の標高差を降るので、小仏城山へ向けて降った分を登り返さなければなりません。
鉄塔
高圧送電線の鉄塔。高尾山に連なる山稜には、送電線が多くあり、良くも悪くも景観のアクセントとなっています。

一丁平
一丁平。
一丁平の富士山
一丁平から見た富士山。

小仏城山の巻道
小仏城山の下の巻道の分岐です。左に進むとまっすぐに山頂へ達します。直進すると巻道ですが、林道を伝って山頂へ達することも出来ます。ここはまっすぐに進みました。
小仏城山の巻道
晴れた明るい日差しの下を歩いてきた時には、真っ暗に見える時もある杉の林です。

小仏城山の巻道
伐採した明るい斜面に抜けました。先に見える林の辺りを林道が山頂へ向かって延びています。
小仏城山の山頂
小仏城山の山頂。

小仏城山の山頂から見た都心
山頂から見た東の方角。都心のビル群が見えます。

小仏城山の山頂から見た富士山
山頂から見た西の方角。少し降りたところから富士山が見られます。

景信山まで

小仏峠には明治天皇行幸を記念した石碑が建っています。
平成からふり返ると、明治時代は遙かな昔です。
ただ、同じ歴史の中の時代でも、江戸時代以前は社会風俗が全く違っているので時代劇の感覚で仰ぎ見ますが、明治時代は近代となるので、主観的にはそれほどの古さを感じません。

景信山には11:18に着。
11時を廻っていますが、あまり人はいませんでした。
東の方角を見ると都心に霞がかかっていて、高層ビル群は見えなくなっていました。その代わりに、北野方角の奥多摩の山々が、薄らと雪をかむっている姿が見られました。

景信山を過ぎると視界の開けるところは少なくなります。見ることがなくなるので、必然的に歩くことに集中するようになります。
歩道を歩いていると、以外に狭いことに気がつきました。
踏み固められているのでわかりにくいのですが、高い山の稜線だったらヤセ尾根と呼ばれそうなくらいの狭い尾根の上に道がつけられています。「竜馬が行く」で有名になった九州の霧島山の高千穂峰の馬の背と呼ばれる噴火口の外輪山の上の道よりもよほどに狭いです。

小仏峠の下り
小仏峠へ向かって降る道。けっこう急なので体重がかかってつま先が痛くなります。
小仏峠
峠の山肌を巻くようにして小仏峠のむかしの茶店跡が見えてきました。

小仏峠
明治天皇の休憩を記念する石碑。
小仏峠の登り
小仏峠を過ぎると、また急な坂みちとなります。今度は登ります。

小仏峠の登り
見上げるような坂道が続きます。
景信山の登り
伐採で開けた道。ここまで来ると景信山はもうすぐです。

景信山の山頂
景信山の山頂から見た都心の方角。ベンチは東側に多く設けられています。
景信山の山頂
景信山の山頂から見た北の方角。奥多摩の山々が見られます。

堂所山まで

堂所山には12:03に着。前回の陣馬山まで往復をした時には、往路では巻道と通り、復路で登ったのが堂所山です。
今回は縦走なので登る事にしました。
「堂所」と書いて「どうどころ」と読ませるようなのですが、地元では「どうしょ」と呼ばれています。南と北と西の三つの道から登る事が出来ますが、高尾山から歩く場合には、南の急峻な坂を登ります。北から登ってくる道も急峻で、比較的に楽なのが明王峠から歩いてきて西側を登る道です。

堂所山には朽ちかけたベンチが2つと山頂を表す標識があるだけです。
北西の樹木が切り払われていて、山並みを見ることが出来ます。
訪れる人の少ない山で、高尾山から陣馬山にかけてある幾つかの山頂の中では一番に静かな山です。

高尾山の山頂の下でも見られたシモバシラと呼ばれる多年草を、堂所山の近くの巻道で見かけました。
面白い草で、茎の中の水分が、気温が氷点下となると凍結して、茎を破ってしまい、白い綿の花のようなかたちになります。

景信山の霜柱
景信山の霜柱に覆われた道。
堂所山の稜線の道
景信山から堂所山へ至る林間の道。樹林に囲まれていてほとんど眺望はありません。

堂所山の分岐
堂所山の分岐。巻道が左にあり、ほとんどの人は巻道を通ります。
堂所山の山頂
厳しい坂道を登り切ると堂所山の頂です。

堂所山の山頂からの風景
堂所山の西側だけが刈り払われていて、眺望が楽しめます。
堂所山のシモバシラ
シモバシラ。

明王峠、陣馬山まで

堂所山からいったん降ってから、だらだらとした坂道を登ってゆきます。
鬱蒼とした森林の中を通り抜けるとそこが明王峠です。
峠への最後の登り道は路面の湿気が多く前回は泥道だったのですが、気温の低いこの日は凍っていて歩きやすくなっていました。

明王峠は南西の方角の樹木が刈り払われているので、日中の日が当たり、暖かです。
峠までは日の差さない薄暗い中を歩いてくるので、なおさらにそう感じるのかも知れません。

陣馬山には13:03に着。天気予報の晴れを確認してきてから登っているので当たり前なのですが、この日も晴天、富士を見ることが出来ました。富士山は相変わらずに、西麓から山頂にかけて雲をかぶっています。
東の都心の方は、これも若干の霞がかかり、高層ビル群は見られませんでした。
北には奥多摩の山々が、北西には大菩薩嶺の山稜と思われる山が見られました。奥多摩の山はまだ未踏ですが、大菩薩嶺は数年前に登っています。下山の途中で大粒の雹に降られたことをよく覚えています。

4時間47分と前回よりも時間がかかっていますが、これは前回は通らなかった堂所山に登ってきたことと、写真よりも時間がかかるビデオを撮影しているためのようです。

底沢峠
明王峠の手前にあるのが底沢。神奈川の底沢と東京の陣馬高原を結ぶ歩道が設けられているので、明王峠よりも峠らしいところです。
明王峠
明王峠。深い森林の坂道を登り切ると明るく開け、そこが明王峠です。

陣馬山の山頂
陣馬山の下の登り。階段は風化で当てに出来なくて、わきの土の上を歩くので、滑ってけっこう大変です。
陣馬山の山頂
陣馬山の山頂の下には陣馬高原へ抜ける道もあり、ちょっと複雑になっています。

陣馬山の山頂
陣馬山の山頂のモニュメント越しに富士山を見ます。方角は西。
陣馬山の山頂からの眺望
東側の都心の眺望。日が高くなるに従い気温が上がったようで霞がかっていました。

陣馬山の山頂からの眺望
北西の眺望。たぶん大菩薩嶺ではないかと思うのですが、自信がありません。
陣馬山の山頂からの眺望
陣馬山の山頂の標識越しに見た北の方角の眺望。

栃谷尾根、藤野駅まで

栃谷尾根の道に入ると、高尾山からの道に比べるとやはりあるく人が少ないと感じられます。
それでも道そのものはよく踏み固められています。
勾配はややきつめ。下りは良いですが、登るとなるとつらそうです。

栃谷尾根の登山道の出口付近の木立の間から茶畑が見えます。
茶畑は静岡県の山間部で見たのが印象的で、この辺りでも作っているのかとちょっと驚きました。
道は登山道から茶畑の中を歩く道に変わります。

民家の脇にひょっこりと抜けると、そこからは退屈な舗装道路歩きになります。藤野のこの辺りはゆずの名産地なのか、ノボリやポスターを時折見かけました。ログハウスの造りの売店もあったのですが、観光の季節でないからか、閉じていました。

藤野駅に通じる県道に抜けると、そこが陣馬山登山口バス停です。
バスを使うには短い距離なので歩くことにしたのですが、ずいぶんと歩いた後だったので、この舗装県道を藤野駅まで歩くのは大変でした。

文字通りに足を引きずるように、一歩一歩踏み出して前へと進むのですが、歩いてみると良いこともあって、車道の左手を流れる沢にカワガラスが1羽いるのを見つけました。
カワガラスはよほどに水が綺麗な渓流でないと住まないと聞いていました。北海道のある川をカヌーで下った時には、街中のスズメやカラスよりもカワガラスの方を多く見かけたこともあったので、なつかしい鳥です。

藤野駅に着くと気が抜けたのか、どっかりとベンチに腰を落ち着けてしまい、動くのも大儀になってしまってそのまま電車が来るのを待ちました。電車の本数は多く、数分待つだけで乗ることが出来ました。
歩いた距離や時間の割にはずいぶんと疲れた登山です。11月に1度、12月に1度しか山歩きをしていないので、体がなまってゆくのがよく分かりました。

栃谷尾根の入口
陣馬山の山頂の下にある栃谷尾根の道の入口。
栃谷尾根の道
尾根の上の道らしく、左右ともに急斜面です。

栃谷尾根の道
しっかりとした道の割に、あるく人は少なそうです。
栃谷尾根の茶畑
茶畑の中に入りました。

栃谷尾根の茶畑
急斜面に集落が作られています。
栃谷尾根の出入り口
栃谷尾根の道の出入り口。民家の駐車場の脇にあります。分かりづらいです。

栃谷尾根の出入り口
狭い舗装道路を下ってゆくと、やや広い道に出ます。
栃谷尾根の出入り口
舗装道路の分岐には、ハイカーが迷わないように標識が掲げられています。

陣馬山登山口
県道に立つ石碑。ここに陣馬山登山口バス停もあります。
カワガラス
カワガラスのいる小川。

カテゴリ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.1

このブログ記事について

このページは、mizunumaが2011年4月 5日 11:09に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「高尾山-陣馬山登山|往復」です。

次のブログ記事は「刈寄山・市道山 登山|至 醍醐丸を経て浅間峠まで」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。