穂高-槍縦走|北穂高-大キレット-槍ヶ岳-飛騨沢

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昨年(2010)10/5から10/7にかけて、焼岳から西穂、奥穂、北穂、槍と歩いた記録です。
三日目は北穂高テント場(5:50出発)から歩き始め、大キレットを越えて槍ヶ岳にいたり(12:40)、飛騨沢を歩いて新穂高温泉郷に戻りました(18:42着)。

西穂高岳から奥穂高岳の間にあった岩場は北穂高岳までで終わり、この先はのんびりと歩いて槍ヶ岳まで行けると思って朝を迎えたのですが、北穂の山頂から槍ヶ岳を見ると、大きな切れ込みがあり、その先の岸壁の上に南岳が乗っていました。ひょっとして今日も岩場歩きかと思ったのですが、大キレットの岸壁は、ほとんどが鎖か梯子がかけられていたので、昨日よりはずっと楽に歩けました。

日程は、参考になりやすいように小さなピークも書いてあります。
山荘間は所要時間も書きました。

日程

    三日目(2010/10/07)

  • 05:50 北穂高テント場を出発
  • 06:08 北穂高小屋
  • 07:28 A沢のコル
  • 09:13 南岳小屋(北穂高小屋から3時間7分)
  • 10:57 中岳
  • 11:43 大喰岳12:19 槍ヶ岳山荘(南岳小屋から3時間6分)
  • 12:40 槍ヶ岳山頂
  • 12:58 槍ヶ岳山荘
  • 15:37 槍平小屋(槍ヶ岳山荘から2時間18分)
  • 16:30 滝谷避難小屋(槍平小屋から53分)
  • 17:33 白出沢小屋(滝谷から1時間3分)
  • 18:42 新穂高温泉郷の車止めゲート
  • 総時間12時間52分

大キレット

国土地理院の1/25000の地図には大切戸と書いてあります。
地図を見ていたときには意味がわかりませんでした。

大切戸が岩場の難所というのは、北穂高岳の山頂から槍ヶ岳の方角を見たときにようやくに気がつきましたが、それでも昨日歩いた西穂-奥穂ほどの事はないだろうと安心をしていました。実際に歩いてみると、確かにそうで、同じ岩場でも鎖場が多く、長い岸壁には梯子ももうけられています。
これだけ設備があれば初心者でなければ、誰でも通れるルートでしょう。

だだ、人というのは心理的に左右されやすいので、鎖場で突然に恐怖を覚えたりして止まってしまったりするので、人の多い登山シーズンの時には、登山渋滞がすごいだろうと思います。

早朝はさすがに寒く、北穂高小屋のテント場に張ったテントは凍り付いていました。
寒いことはわかっていたので、3シーズンシュラフを2つ背負ってきたので就眠中に寒さを感じることはなかったのですが、重かったです。

テント場のテントに明かりがともり、皆が起きてきた頃に出発をしました。
北穂高小屋まで岩場を一登りすると、北穂高岳の山頂にはすでにザックを背負った人や、寝起きのママの人が、おそらく小屋泊をした人たちが多数いました。
ただ、大キレットに向かって歩く人はなく、南陵を目指して歩いて行きます。

山頂を降りて山小屋脇の道を大キレットに向かって歩いて行くと、槍ヶ岳とその手前の大キレットがよく見えます。
15mmの広角レンズでも収まりきらないほどの大景観でした。戻ってきてから写真を見てみると、これが失敗作で、なぜ縦に撮さなかったのかと公開しきりでした。あとの祭りです。

北穂高小屋から先はいきなりの岩場の下りで、膝をがくんがくんさせながら大きな段差を下って行き、足が届かない高さの段差は手を使って降りてゆきます。
A沢のコルが遠目からでも見えるのですが、これが以外に遠くてなかなか着きません。
ようやく手が届くくらいにまで近づくと、そこには数名のグループが休んでいました。
コルの東がわは、おそらくカールと思うのですが残雪があり、広い平坦な岩場でもあるので、そこで野営をしたのかもしれないと思ったりしました。

A沢のコルは見事なくらいの切れ込みで、このときはここが大キレットの最鞍部と思ったのですが、あとで調べると最も低い箇所はその先にあるそうです。

まだ大キレットの気温は低く、岩の上に降りた霜が残っていて、つま先を2回ほど滑らせ、両手だけで岩にぶら下がったりしました。
三点姿勢で移動をしていたので特に危険ではなかったのですが、三点姿勢を取っていなかったら危なかったでしょう。

大キレットを進んでゆくうちに日が高くなり、朝の景色から日中の景色に周りが変化してゆきます。
最後の南岳の岸壁はとりつく島がないと眺めていたのですが、直下までくると左にまわる様にマーキングが書いてあり、指示通りに歩いて行くと長い梯子が用意されていました。
梯子があれば苦もなく上れてしまいます。

岸壁を上りきると、そこが南岳小屋で、もう岩場はありません。

北穂高小屋の朝焼け
凍り付いたテント。
北穂高小屋の朝焼け
常念岳の朝焼け。

北穂高小屋の朝焼け
南陵の分岐。
北穂高小屋の朝焼け
日が差し込んできました。

北穂高岳の山頂
朝の早い登山者が北穂高岳の山頂に集まってきました。
北穂から見た槍ヶ岳
北穂高岳の山頂から見た槍ヶ岳と大キレット。

大キレットの梯子についた霜
早朝は霜が降りているので滑りやすくなっていました。
大キレットと槍ヶ岳
朝焼けの槍ヶ岳。この写真を縦で撮っていればと後悔しました。

大キレットのA沢のコル
A沢のコル。

大キレットの岩場の鎖
長い鎖場。
大キレットの岩場
岩場のマーキングはわかりやすく書かれています。

大キレットのA沢のコル
圏谷底の残雪が見えてきました。
大キレットのA沢のコル
A沢のコル。歩いているときはここが一つの目標となっていました。A沢というのは東がわに見えていた圏谷(カール)の事と思っていたのですが、地図を見ると飛騨側の岩場の谷がA沢となっていました。東がわの圏谷にはとくに名称はないです。

大キレットの岩
斜めの岩をたどります。
大キレットの岩
たぶん長谷川ピークですが、自信はありません。

大キレット
赤い服を着た女性が点として写っています。彼女がこの日に初めてすれ違った登山者でした。
大キレットの岩場のマーキング
西穂-奥穂に比べると登山者が多いと思われるのは、こうした見やすいマーキングから感じます。

大キレットから見たカール
大キレットの東がわに広がる見事な圏谷。
大キレットの岩場
南岳の直下の岸壁。大キレットから見上げると登るルートが見つからなかったのですが、それもそのはずで左に大きく回り込んだところに梯子がありました。

そろそろ今日の岩場歩きはおしまいにしたいと思い始めた場所です。 大キレットの岩場
テントを張った場所と思われる広場。南岳の岩場の登りの途中にあります。

大キレットの梯子
長い梯子。
大キレットの梯子木製の階段。これを登ると岩場が終わります。

南岳小屋
岩を登り切ってあがったときに、視界の先には稜線歩きの登山道が見えたので、岩歩きから解放されたと喜んだ瞬間です。
南岳小屋
南岳小屋。ここでラーメンを食べている人を見かけ、暖かそうだとうらやましく感じました。ここまで体を使ったので汗をかくくらいに体温は上昇していましたが、気温は氷点下でとても寒かったのです。

槍ヶ岳

大キレットの方角から歩いてきたのがわかるので、南岳で休憩を取っている人から、大キレットの様子を聞かれましたが、「だいきれっと」と言う呼称を知らなかったのではなはな情けない受け答えをしていました。
「大キレットだどこか知らないけれど昨日は西穂から奥穂・北穂まで歩いて、今日は北穂からここまで歩いてきた」というと、北穂からここまでが大キレットと言うことを教えてもらいました。

南岳から槍ヶ岳にかけて幾人かの登山者とすれ違いましたが、皆が大キレットの様子を知りたがりました。
話をすると、ほとんどの人が今日は南岳小屋に泊まって、明日、大キレットを越えると言うことで、以外に時間をかけて慎重にしていると思います。

まだ昼前なのですが雲が出てきてしまい、常念山脈は隠れてしまいました。
槍ヶ岳の鋭い山頂が時折姿を現しますが、すぐに雲に隠れてしまいます。

中岳、大喰岳と続くのですが、山頂の標識はあるものの、歩いていると山と言うよりは山稜の突起といった感じがします。
南岳から飛騨乗越までは雲で景観が楽しめないと、これといった華やぎがありません。特にきつい登りもなく、岩場でもないので淡々と前へ進みます。

飛騨乗越は日本最高所の峠と書かれているのを見たことがあるのですが、なるほど槍と大喰のあいだが鋭く切れ込んでいるように見えます。
ここから飛騨沢を下ってゆくと、通なりに新穂高温泉郷に降りられます。
どうせ戻ってくるので荷物を置いて、カメラだけをもって槍ヶ岳へと向かいます。

大喰岳からも見えていたのですが、槍ヶ岳の肩に山荘があるのは不思議な気がします。

槍の肩から山頂までは岩場を登るもののあっけないもので、気がついたら山頂にいたという感じです。
鎖場や梯子もあるのですが、利用する登山者が多いから、ずいぶん配慮されてもうけられています。
それでも先に登っていた人が梯子の途中で止まってしまい、後続のわたし達が渋滞してしまいました。といっても二名ですが。
この調子では夏はあまり魅力的な山ではないかもしれません。

槍ヶ岳の頂は思っていたよりは広く、10名か20名の人が休憩が出来そうに見えました。

中岳
中岳の山頂。南岳から槍ヶ岳山荘まで歩きやすい山稜の道が続きます。
槍ヶ岳の東鎌尾根
槍ヶ岳から常念山脈に伸びる東鎌尾根。鎌尾根という言葉はよく読んでいたのですが初めて実感できました。いずれは歩いてみたいと思っています。

大喰岳と槍ヶ岳
大ばみ山の上に顔を出した槍ヶ岳。槍も雲に隠れていてなかなか姿が見られませんでした。
大喰岳
大喰岳。山と渓谷社のアドバンスドシリーズの槍・穂高縦走のDVDでは槍岳に登った後に大喰岳、中岳、南岳と3000m峰を三座も登る云々と言っているのですが、槍と奥穂の間のピークは稜線の上の突起という感じです。

飛騨乗越
ぐっと標高を下げている箇所が飛騨乗越です。峠の雰囲気が多少あります。
槍ヶ岳山荘
槍ヶ岳と山小屋。小屋があるために槍ヶ岳がひどく俗っぽく見えてしまいます。

槍ヶ岳の山頂の梯子場
槍ヶ岳の直下の最後の梯子。
槍ヶ岳の山頂
槍ヶ岳の山頂。鋭い岩の頂と思っていたのですが、ちょっとした広場となっていました。

飛騨沢

槍の山頂は雲の中で、何も見えませんでした。
いても写真も撮れないので、早々に下ります。

飛騨乗越から飛騨沢を下るのですが、最初の圏谷の壁に当たる部分をジグザグに下るあたりは、下りでも足が痛くなるほどの坂道です。登りでなくて良かったとほっとしました。

下ってゆくにつれて、雲の下に抜けたらしく、前方の視界が開けてきました。
左右の圏谷の壁を見上げると雲の中で、雲高は3000m前後であることがわかりました。

さすがにこの時期、上高地以外の登山道は人の気配は薄く、飛騨沢を歩いていてもすれ違う人は希です。
白出沢に着いた頃に日没の時間を迎え、新穂高温泉郷の駐車場脇にあるゲートを越えたときには真っ暗でした。

飛騨乗越
飛騨乗越から飛騨沢を下ります。
飛騨沢の圏谷
飛騨沢の圏谷壁。

飛騨沢の圏谷
草木が茂る標高まで降りてくると、雲の下に抜けました。
飛騨沢
勾配が緩やかになると、樹林帯になります。

槍平小屋から見た穂高岳
穂高の頂。
槍平小屋
槍平小屋。翌週には営業を終えますという張り紙があり、冬を感じました。

滝谷避難小屋
滝谷避難小屋。
新穂高温泉郷の車止めのゲート
新穂高温泉郷の駐車場脇にあるゲート。真っ暗となっていました。

穂高-槍縦走

  1. 焼岳登山 至西穂山荘まで
  2. 西穂-奥穂-北穂

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このブログ記事について

このページは、mizunumaが2011年4月28日 13:09に書いたブログ記事です。

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