コールマン ツーリングテントST(2011モデル)の感想

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レビュー

今シーズンに発売された新しい2011モデルのツーリング専用のテントです。
ツーリングテントの名称の通り、登山ユースやトレッキングユースは考慮されていません。小気味の良いくらいにツーリングに特化しています。
このテントはレビューの比較用に購入をしました。楽天市場の一番安いお店で14800円でした(送料込み)。
正確には「ツーリングドームST」と言うようです。

テントの作りは、前室の広さと通気性(以下ベンチレーション)の向上を優先してあります。
ベンチレーションはファスナーで開閉するので、気温の変化に応じて開け閉めが出来るので、メッシュテントよりは幅広い気温の元で使用が出来ます。
登山と比較して気温の高い平野部にテントを張りますので、通気性が重要になってきます(注:登山のテントは酸欠にならない程度の通気性が確保されればよいという考え方です)。
7月、8月といえども登山なら標高3000mのテント場で横にはたっぷりと残雪があったりするのですが、ツーリングで7月、8月と言えば炎天下の旅で、夜間でも熱帯夜を覚悟しなければなりません。

テント本体の空間は意外に狭く、慎重173cmのわたしが中央に座ると天井に髪の毛が触ります。横になっても同様でテントの壁に髪の毛が触ります。

前室は十分に広く、どんなに荷物の多いライダーでも不満はないでしょう。
また、前室は格納することもできるので、好みの前室の形に簡単にすることが出来ます。
オートバイ、自転車、カヌーなどのいわゆる「ツーリング」では、登山やトレッキングと比べると荷物が多くなりがちなのですが、そうした荷物を置くのは大抵は前室です。また、雨の日には前室で調理をします。

第一印象

手元に届いて持ってみると、その大きさもさることながら重さに驚いてしまいました。
昨年は1kgあまりのトレックライズ0を使っていたので、余計に重く感じたのかもしれません。

部品の印象

いつもの通り、新しいテントなので近所の公園で設営してみました。
組み立ては思っていたよりも簡単です。コールマンのテントというと組み立てが面倒という印象があったのですが、このテントは楽です。
ただ、組み手ているとわからない箇所が出てきたので、組み立て説明書を読みながら組み立てなければなりませんでした。
組み立て時間は写真を撮りながらで30分ほどでした。わからない箇所を説明書で読んだりしていたので遅くなりましたが、2、3回組み立てて慣れれば15分で組み立てられると思います。
コールマン ツーリングテントST

袋にテントが入っている状態です。
とても重いテントなのですが、袋に手提げ用の取っ手が着いているので、持ち運びには便利です。
取っ手がなくても持ち運びに苦労がない重さがベストですが。
コールマン ツーリングテントST

ツーリングテントSTを袋から出したところです。
特に重い部品はなく、一つ一つが重いようです。この部品を軽量化すれば劇的に軽くなると言うことはないのです。
コールマン ツーリングテントST

袋は気配りを感じます。
大抵のテントを入れる袋は紐が一つなのですが、このテントは内側と外側の計2本の紐で、入り口を止めます。
このテントをオートバイの荷台に積むときに、しっかりと紐で入り口を固定してあると、安心できます。
コールマン ツーリングテントST

これがペグと固定ロープ。
ペグはわたしがあまり好きではないL字型です。しかもとても重い。鉄製かもしれません。
ペグをジュラルミン製に変えるだけでも軽くなりそうですが、12本をジュラルミンペグに買い換えると2千円以上かかりそうです。
コールマン ツーリングテントST

ポールは3本。
輪ゴムでくくってあります。
直径がとても細く、手荷物とずっしりと重さを感じます。
ポールは色分けされてわかりやすくなっています。黒がテント本体を支えるポール、灰色が前室を支えるポールです。
コールマン ツーリングテントST

テントの設営の実際

テント本体を地面に敷きます。
コールマン ツーリングテントST

よく見るとこのテント、前後非対称の構造をしています。組み立ててわかったのですが、これはベンチレーションのためで、設営するときには前後は関係なく組み立てることが出来ます。
ちなみに、ドームテントで前後が非対称のものはとても組み立てにくいテントとなります。
写真はテントの天井に当たる箇所にあるベンチレーションの窓です。
この窓が一方にしかないので非対称となっています。
コールマン ツーリングテントST

地面に敷いたテントの上に黒色のポールを2本クロスさせて並べます。
コールマン ツーリングテントST

ポールとテントの接続の仕組みはよく考えられていています。
袋状のポケットが2本のポールを支えるように出来ています。これなら悪天候下でも、夜間でも設営が楽に出来ます。
コールマン ツーリングテントST

ポールのもう片方もテントに接続します。
こちらは金属の棒をポールの先端に差し込むような構造となっています。
この作業も簡単です。テントとポールの接続というテント設営の基本はよく考えて設計されています。
コールマン ツーリングテントST

ポールをテントに接続しただけでは固定してくれないので、手で支えておきます。
やむを得ないのかな、と思うものの、手で支えなくても良いテントを使用しているので、物足りなく感じます。コールマンにもう一工夫欲しいとおもう箇所です。
コールマン ツーリングテントST

手で支えたポールにテント本体のつり下げ用のフックを引っかけます。
コールマン ツーリングテントST

テント本体のつり下げようのフックをすべてポールに引っかけます。
コールマン ツーリングテントST

これがつり下げ用のフック。
別段の新工夫はない形状ですが、使いにくくはありません。
雨天でも夜間でも滞りなく出来ます。
コールマン ツーリングテントST

前室用のポールをテントに接続します。
このポールは前後があり、少しやっかいです。この箇所は説明書を読んでわかりました。
コールマン ツーリングテントST

テントの左右に金属の棒があります。
これをポールに接続するのですが、中心位置から少しずれています
この方向は逆につけてしまった例です。
ポールが高く浮いています。
コールマン ツーリングテントST

これが正しいつけかた。
コールマン ツーリングテントST

フライ

前後が非対称なので、形状を探りながらかぶせました。
ドームテントで前後が非対称なのはあまり好きではありません。広い前室を得るためには、多少の苦労はいとわないようにしなければなりません。
コールマン ツーリングテントST

フライをポールに固定します。
フライの四隅に樹脂製のフックが着いていて、それをテント本体についている樹脂製の輪に引っかけます。
金属の輪でも良さそうに思えるのですが、説明書にはそう書いてありました。
似たような部品が同じ箇所にあるというのは、雨天や暗闇の中での設営の可能性もあるテントとしては不親切です。
コールマン ツーリングテントST

フライをかぶせ終わりました。
ドームテントにフライをかぶせる作業はそれほど大変なことではないのですが、このテントはフライが大きいことと前後が非対称と言うこともあって、思わず「かぶせる作業を終えた」」と言ってみたくなります。
コールマン ツーリングテントST

フライの隅を5カ所、ペグを打って固定します。
ペグを打つ箇所は、前室2本、テントの左右1本ずつ、テントの後ろ1本です。
コールマン ツーリングテントST

ペグを打ち終えたところ。
コールマン ツーリングテントST

フライをポールに固定する作業です。
テントの前室に潜り込んで、フライに着いているベルクロをポールに巻いて止めます。
この作業はさほど時間はかからないのですが、とても面倒に感じます。
設営時にはあまり気にならないのですが、撤収の時には外し忘れることもあります。
撤収の時に外し忘れていて、手ではがさずに、ポールとフライを外から揺すって無理に外そうとすると、フライとベルクロの縫い付け部分が裂けてしまいます。
個人的にはこの箇所は不要に思います。風のあるとき以外は無視して良いのではないでしょうか。少なくともわたしならここは止めないで使用します。
コールマン ツーリングテントST

テントの外観

横から見たところです。前室の広さがわかります。
コールマン ツーリングテントST

後ろから見たところです。
コールマン ツーリングテントST

前室

前室の入り口を開けたところです。
コールマン ツーリングテントST

あけた部分はこのように固定されます。
風でばたつく心配はありません。
コールマン ツーリングテントST

前室の入り口は逆方向にあけることも出来ます。
わたしはモンベルムーンライト2やトレックライズ0を使い慣れているので、右開きのテントに慣れていたので違和感はなかったのですが、左利きの人が初めてテントを使うときには、こちら側が開いた方が使いやすいと思います。これはなかなか良い機能です。
コールマン ツーリングテントST

左右にファスナーが着いているので、この様な開け方も出来ます。
コールマン ツーリングテントST

あけた部分はこのように固定されます。
留め具が2つあるのでばたつきません。
コールマン ツーリングテントST

左右が開くと言うことを利用して、入り口の下だけを開けることも出来ます。
開けた部分は固定できます。
どの様な時に有効なのかはわからないのですが、少しだけ風通しを良くしたいが外から見えるのはいやだ、という時に重宝するかもしれません。
コールマン ツーリングテントST

前室そのものを大きく開けることも出来ます。
開けた部分は固定できるので、風でばたつくことはありません。
コールマン ツーリングテントST

前室の左右ともに大きく開け放ちました。
よほど、風通しを良くしたいときに有効な使い方でしょう。
周りから室内が見えないような環境、例えば湖の岸辺のキャンプ場で、湖に面した位置にテントが張れたなら、この姿にすると、涼しい風が湖からテントの中に入ってきます。
コールマン ツーリングテントST

前室に靴を置きました。
前室の面積はとても広く、高さも十分に取られています。
ツーリング中、雨天の時にはここで炊事をするので、ある程度以上の高さがないと、熱が冷やされずにテントやポールに伝わってしまいます。
これだけの面積と高さが確保されていれば、長時間の火気の使用をしなければ、熱がこもったり伝わってテントの材質を変化させたりすることはないと思えます。
また、荷物を置いても、炊事をする空間は十分に得られます。
コールマン ツーリングテントST

室内の居住性

外から見ると大きなテントですが、テント本体の室内の容積は、見た目ほど大きくありませんでした。
大きさの比較が出来る様にギンマットを敷いてあります。
シュラフで寝ると、左右に荷物を置くスペースは作れますが、それほど広くはありません。
枕元のスペースはほとんどありません。横になると、足下をテントの壁につくまで下がっても頭がテントの壁にこすれてしまいます。身長175cm以上の人はまっすぐには寝られないかもしれません。
コールマン ツーリングテントST

ヘッドクリアランス。頭上の高さも意外に低く、身長173cmのわたしが中央に座ると、髪の毛が天井に触れるほどです。
中央以外は低くて座ることは出来ませんでした。
写真は室内から見上げた天井。
コールマン ツーリングテントST

床面積は210cm*120cmとかなり広くなっています。
それにも関わらず頭が壁に触れるというのは、左右の壁に傾斜があるからです。
垂直に近い角度なら頭が触れることはなくなるのですが。
オレンジ色の線が地面に対して垂直の位置です。
テントが内側に斜めになっているのがよくわかります。
コールマン ツーリングテントST

室内のポケット。
片方にだけもうけられています(一つあれば十分です)。
コールマン ツーリングテントST

入り口は下に畳んで固定します。
前後に1カ所ずつの入り口があるので、どちらからでも出入りが出来ます。
2つ入り口があると便利なのですが、これだけはっきりとした前室を持っているのなら、入り口は1つにして、その分販売価格を下げるという考え方もありかと思います。
コールマン ツーリングテントST

入り口のファスナーは2カ所とも両開きです。
両開きでないととても不自由をします。
コールマン ツーリングテントST

入り口は2カ所ともメッシュ構造が外側にあります。このために、蚊帳の様な使い方も出来ます。
写真は前後の入り口をメッシュにしたところです。
コールマン ツーリングテントST

通気性(ベンチレーション)

大きな前室が通気性を遮らないように様々な工夫が施されています。
前室を完全に取り払えるドームテントも珍しいと思います。
コールマン ツーリングテントST

入り口が左右ともメッシュ構造が外張りとなっているので、風通しはとても良いです。
左右ともにメッシュにしてあるので、地面が見えます。
コールマン ツーリングテントST

コールマンのツーリングテントではおなじみの天井にある通気口。
熱は高いところにこもるので、これは効果がありそうです。
ちなみに、フライにも同じ位置に通気口があります。テントの中から出した熱がフライの中にこもっては意味がないので、その配慮の設計です。
コールマン ツーリングテントST

ペグと固定ロープ

ペグを打つ本数が少ない方が、当然ながら設営は楽です。
このテントは最低でも5本のペグを必要とします。
前室に2本、テントの左右と後ろにフライトテントの間の空間を作るために各1本です。
付属のペグはL字型のペグです。L字型ペグは方向が変わりやすく、方向が変わると引っかけたテントやフライやロープが外れてしまうと言う欠点がありますが、価格が安いという長所もあります。
付属のペグは鉄製なのかとても重いので、出来ればジェラルミンペグに買い換えたいところです。12本を買い換えるとすると2000円前後かかります。

これが打ち付けたペグ。
L字型は線にしか見えないので視認性が悪いです。
このためペグを脇を通る人に蹴倒されたり、撤収の時に置き忘れたりします。
ペグの管理には十分な注意が必要です。
もっとも12本の付属のペグのうち、どうしても必要なのは5本だけなので、あとの7本は最悪なくしてしまってもテントの設営は可能です。
7本が予備と思えば悪くありません。
コールマン ツーリングテントST

固定ロープは約2mの長さのものが4本付属しています。
オレンジ色なので見る人によっては、テントとの色が統一されていないと感じるかもしれません。
ロープは張っても見えずらいので、人の多いキャンプ場でテントを張った場合に脇を通る人がロープに足を引っかけることがあります。オレンジ色なら夜間でなければ視認性はよく、足を引っかけられることも少なくなるはずです。
おそらく、その辺まで考えてこの色としたのではと思います。
あと、目立つ色の方が、撤収の時の置き忘れを防いでくれます。
テント本体と同じグリーンを基調とした色だと、テントサイトの芝の色に紛れて、ツーリングの途中で置き忘れると思います。

ロープはテントの四隅に張ります。
フライにロープを固定する箇所があります。
このツーリングテントSTは風にはあまり強くはないので、海岸線などテント設営時は無風でも、風が吹きやすいところで張るときにはロープも張った方が良いでしょう。
コールマン ツーリングテントST

フライの後ろ側

後ろ側の前室。
日本語として変なのですが、それ以外に表現が出来ません。
前に比べると狭いのですが、靴くらいはおける面積が確保されているので、通常のドームテントほどの空間は確保されています。
コールマン ツーリングテントST

後ろの前室の通気性。
後ろ側のフライも開けられます。
コールマン ツーリングテントST

このように大きく開けることも可能です。
風の向きにや前を人が通っているなどの環境によっては、前よりも後ろの方を開けたいときが出てくるのですが、そうしたときには後ろ側のフライが大きく開くことは重宝するはずです。
コールマン ツーリングテントST

スペック(仕様)

サイズ:約210cm×120cm×高さ100cm
収納サイズ:54cm×23cm
総重量:4.4kg
出入口:2
フロア面積:2.9平方メートル
前室面積:0.4+0.4平方メートル
フロア素材:75Dポリエステルタフタ(PU防水、シームシール)
インナー素材:68Dポリエステルタフタ(撥水加工)
フライ素材:75Dポリエステルタフタ(UVPRO、PU防水、シームシール)
ポール素材:FRP約φ8.5mm×2(メイン)、FRP約φ9.5mm×1(フロント)
付属品:ペグ、ロープ、キャリーバッグ

携帯性

折りたたんで格納したときの大きさが54cmもあります。
わたしが使用しているツーリング用のオートバイのバッグには収まりませんでした。
このテントをオートバイツーリングに持ってゆくとなると、バッグに入らないのでバッグの上に直に置くことになるのですが、そうなるとパッキングの問題が発生します。

わたしはオートバイツーリングの中では、もっとも過酷な林道走行を主体としたツーリングなので、リアの荷台に荷物を積むときにはがんじがらめにゴム紐で固定します。バッグ本体はそれで固定されるので今までに落としたことはないのですが、バッグの上に直にくくりつけた荷物は数回落としたことがあります。どうしても荷台に直接くくりつけるのに比べると緊縛渡は落ちるようです。

主にオートバイツーリング向けのテントと思いますが、収納時のサイズが少し大きいのはいかがと思います。

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感想

決して悪いテントではないのですが、テントとしての完成度の高さではシエラデザインズのシリウス2を触ったばかりなのでひどく見劣りがします。用途に違いがあるので同一には論じられないのですが、わたしがこのテントを持ってゆくとなると、考えてしまいます。
これは、わたしがムーンライト2やトレックライズ0と言ったテントとしての完成度がずば抜けて高いテントを使用していることも関係があると思います。

テントというのはどれだけ簡単に張れるのかということはとても重要なことですが、この点はツーリングテントSTは合格です。
予想に反して(?)張りやすいテントです。

これも予想に反していたのですが、居住性がもの足りません。
特に、天井の低さと、寝たときに頭が壁に当たることは、1泊2泊なら気にならないのですが、2週間、1ヶ月と旅をするとなると狭さを感じます。

ベンチレーションは最高に良いです。
メッシュテントと違って、必要があればメッシュ部分を閉じられるので、ある程度の保温性も持っているのがありがたいです。
このテントなら、気温が下がって寒い夜朝のある北海道や北東北の夏のツーリングにももって行けるでしょう。

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このブログ記事について

このページは、mizunumaが2011年5月 3日 13:05に書いたブログ記事です。

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