テントの選び方
基準
テントを選ぶ基準をわたしなりにまとめると、「張りやすさ」「信頼性」「大きさ・重さ」「価格」の順になるようです。
張りやすさには撤収のしやすさも含まれます。信頼性は雨が浸水してこないことや長期間の使用に耐えられる耐久性や風に対する強さが含まれます。大きさと重さはテントを張った時の大きさと収納時の大きさが含まれます。価格は自分の財布と相談をして代金を払えるかどうかです。
張りやすさ
テントで張りやすさはもっとも重要なことかもしれません。
1回だけのツーリングや夏休み1週間のツーリングで使うだけのテントにお金をかけたくないと言うことがありますが、せっかくのツーリングもテントの設営や撤収に1時間もかかるようでは楽しさも半減してしまいます。
張りやすいテントがあるとツーリングに専念できるので、楽しさが倍増します。逆に張りにくいテントでツーリングをすると、日が暮れてきてテントを張る時間が近づいてくると憂鬱になってきます。北海道では1時間かかってもテントを張れないうちに日が暮れてしまうライダーを時々見かけます。
張りやすいテントを実感できるのは日没の後にキャンプ場に着いたときでです。暗闇でテントを張っていると、張りやすいテントで良かったと思います。 撤収の簡単なテントを実感できるときは、朝の出発の時間に、自分よりも前にテントの撤収を始めたライダーを尻目に、先に出発できたときでしょうか?
設営時の大きさ
大きさは感覚的なので、1人用のテントでも広いと感じる人もいれば、3人用のテントでもまだまだ狭いと感じる人もいます。
わたしはトレックライズ0というもっとも室内の小さなテントで2週間の四国・九州ツーリングを昨年に行きましたが、室内の大きさに不満は全く感じませんでした。
逆に、北海道に行くと希に見かけるのが、モンベル ムーンライト3という3人用のかなり大型のテントをソロツーリングのライダーが使用しているシーンです。話を聞くとムーンライト3でもまだ室内が狭く感じるのだけどこれで我慢をしているという事でした。
テントの大きさは、1人用テント、2人用テント、3人用テントと人数向けに別れています。
一般的には、人数プラス1人分大きいテントを使うと、大きさの不満は少なくなります。例えばソロツーリングなら2人用、カップルのツーリングなら3人用のテントを購入すると、室内が広く取れて、荷物を置く空間も十分になります。
わたしが使用しているモンベル ムーンライト2はメーカーでは2人用としていますが、ソロツーリングで使う分には手頃なサイズです。もちろんムーンライト1と言う一人用のテントでツーリングをしているライダーやチャリダーもいます。
大きなサイズは居住性は増すのですが、大きい分だけ収納時も大きく重くなりますので、少しでも軽量コンパクトに荷物をまとめたいというライダーには向いていません。
収納時が軽量コンパクトでありながら大きなテントというがありますが、それは登山用のテントです。価格はかなり高価となり、機能はツーリング向きではないモデルもあります。
収納時の大きさ
ツーリングのテントは、登山のように自分で背負って移動する必要はありませんので、収納サイズがある程度大きく重いテントでも積んで走ることが出来ます。
ただし、いくらオートバイに乗せて行くからといっても大きなサイズになればなるほどパッキングが難しくなり、重くなればなるほど走行性能に影響が出てきます。
もう一点重要なのは、大きさによってはバイクのどこに積むかの制約を受ける可能性があると言うことです。パッキングが出来ないテントは当然にバッグやバニアケースの外にくくりつけるようになりますが、外に積むということはいくつかの欠点があります。落としたりする可能性が飛躍的に高くなる、バッグの上に積めば重心が高くなる、などです。
信頼性
購入するテントはすべてメーカーで選んでいます。わたしが現在所有しているテントのメーカーはモンベル(ムーンライト2)、アライテント(トレックライズ0)、コールマン(ツーリングドームSTとコンパクトツーリングST)、シエラデザインズ(シリウス2)の5張りです。このうち、シエラデザインズだけはナチュラムからモニターとしていただいたものですが、他のテントはすべて自費で購入をしました。シエラデザインズもハーフムーン2を使ったことがあり信頼できるテントを作っているメーカーということを知っていたのでモニターに応募をしました。
少なくともホームセンターで売られている1万円以下のテントは購入しませんし、たとえ無料で貰えることがっても丁重にお断りするでしょう。
防水性
縫い目の内側にシーリングを施したシーリング(防水加工のこと)が剥離してしまったり、隙間が出来ると浸水してしまいます。
テントや雨具の廉価な製品は縫い目のシーリングが貧弱です。雨水がテント内に染み込んでくる箇所のほとんどは縫い目です。
防水性が重要なのは、天候というのは天気予報の通りではなく、突然に崩れる場合があるからです。寝るときには星空が見えていても夜半に大雨となったことがしばしばでした。大雨が降ると防水性に不安のあるテントは次々と浸水して水浸しとなってゆきます。
廉価なテントが悪いわけではなく、廉価なテントで雨が不安な場合には、雨天の時はホテルに泊まることを前提にツーリングをすることで、快適に使えます。
このあたりは考え方の違いで、台風が上陸した場合など荒れた天気の時以外は雨天でもテント泊をするか、雨が降りそうなときにはさっさと早めに宿に入ってくつろいでしまうかです。
雨の日のテント泊は決して楽しいものではありません。逆にライダーハウスなどは普段は閑古鳥が鳴いているようなところでも雨天の時は満員で、沢山のライダーと話をすることが出来てとても楽しい一夜を過ごせる場合があります。
3万円のテントを買うお金で1万円のテントを購入して、残りの2万円はツーリングの時の宿代としてキープしておくという考え方もあると思います。
耐風性
ツーリングテントは風にはとても弱いです。と言うのも、前室を広々と取ってある製品が多いのですが、この前室がまともに風を受けてしまうからです。
これは登山用テントと比べるとわかりやすいです。登山用のテントは吹きさらしの山の稜線の上にテントを設営しなければならないので耐風性も求められますが、平地のキャンプ場の使用が前提のツーリングテントではそれほどの強風のもとでテントを張ると言うことはほとんどありません。
突風が吹く場所には張らないですし、台風のような風の強い時にはホテルやライダーハウスやとほ宿に避難するでしょう。
耐久性(テントの寿命)
テントはどのくらい使えるのかというと、おおよそ100泊と言います。よく10年がテントの寿命と言いますが、これは年間10泊(ゴールデンウィークに4泊、夏休みに4泊、秋に2泊と言った計算からの数字です)とすると10年で100泊となるからです。
ただし、これはテント本体の寿命で、ポールは折れない限りもっと長く使えます。フライもテントよりは遙かに寿命が長いです。
ただし、廉価なテントはこの限りではありません。
参考
- このテントは、1997年に購入。
- 2003年に防水能力がなくなったのでフライとテント本体を交換。
- 2006年に防水能力がなくなったのでテントを交換。
参考までにわたしのモンベルムーンライト2の事を書きます。
ポールと付属ペグと袋は1997年に購入したときのものを使い続けています。この間、300泊から400泊くらいのテント泊をしています。
以上、長々とツーリングテントについて書いてきました。
次は、選び方です。
選び方
旅の目的に応じたテントを選ぶ
テントを選ぶさいには、いくつもの目的に使うことを考えずに、一番に使う目的に合わせて購入をすると失敗がありません。
例えば、オートバイツーリングに持って行くけど、将来的には登山にも使いたい、あるいはファミリーキャンプにも使いたいという場合です。
夏山登山に向いているテントはオートバイツーリングにも使えますが、登山では軽量化・小型化を最優先にしているので、居住性が劣ります。また寒い高山での使用が前提なので室内の通気性は最小限なので風通しが悪いです。つまり、平地で使うと暑いです。
オートバイツーリングに向いたテントは、前室やテントの室内が広いなど、居住性に優れていますが、重量が重くなるので、登山に背負ってゆくのはそうとうにきつくなります。
オートバイツーリングで使うのなら、登山ユースなどはひとまず置いておいて、ツーリングに使うのに最適なテントを選びましょう。
わたしが使用しているテントでは、トレックライズ0なら登山でもツーリングでも使えます。
名称の通りにこのテントは、もともとが登山に限定せずトレッキングなどにも使えるような形状となっています。
小型軽量なのは登山に適しているのですが、一般的な登山専用のテントと比べると耐風性がやや弱いです。
もっともトレックライズ0では大抵のツーリングライダーは狭さに耐えられないでしょうから、やや大きいトレックライズ1を使うようでしょうか。0と1の価格はほとんど変わりません。
ツーリングで使うと決めたら、どの様なツーリングスタイルかを考えます。
日の出とともに走り出して夕暮れにやっとテントを張るという走りに徹したツーリングもあれば、テントを張ったら数日は腰を据えてじっくりと付近を散策するステイ型のツーリングもあるでしょう。
走りたいライダーなら、テントは軽量コンパクトでライディングに支障がないものを選びたいです。テントは寝るためだけの道具ですから、設営や撤収にかける時間は最小限にします。
テントの室内にいる時間が多いライダーなら、大きく重くても、室内が広々としたテントを選びたいものです。少々、設営に時間を取られても、それも旅の思い出となるでしょう。積極的に設営の面倒なテントを選んで見るのも一興かもしれません。つらい思い出ほど後で思い返すと楽しいものです。
毎日テントは張るけれど、朝はのんびりとコーヒーを飲んでから出発をして、テントは日がまだ高いうちに張るライダーは、適度に広くて、多少大きく重いテントとなるでしょう。テントは毎日張るので設営と撤収は簡単な方が良いでしょう。
モンベル ムーンライト3やコールマン ツーリングドームSTがこれに当てはまるでしょう。
旅のスタイルが違ってくればテントも変わってきます。
値段(価格)
テントの値段はおどろくほど幅が広いです。ホームセンターなどでは3980円で買えるテントが売られていますが、アウトドア専門店では2万円台、3万円台のテントが中心の品揃えとなっています。登山専門のテントは4万円台、5万円台やもっと高価なものもあります。
初めてのテント選びでは「なにが違うの?」と考え込んでしまいます。
違いは色々とありますが、わかりやすいのは重さです。
同じサイズ(人数と床面積)の廉価なテントと高価なテントを持って比べてみると、その重さの違いに驚くと思います。
- 軽い順、ポールと付属のペグ等を含んだ重さです。価格はamazonです(2011/4/30)。
- アライテント トレックライズ0 1人用 重さは1.25kg 35,700円
- シエラデザイン シリウス2 1~2人用 重さは2.2kg 15,120円
- モンベル ムーンライト2 1~2人用 重さは2.8kg 25,096円
- コールマン ツーリングドームST 1~2人用 重さは約4.4kg 14,800円
重さの例
必要な強度をを持たせながら重量を軽くするのは、コストがかかるのです。
一番に重量の違いを感じるのが付属品のペグとポールです。ペグとはテントを地面に固定する釘のような形をした道具です。コールマンのテントは鉄素材なのかとても重いです。アライテント、シエラデザインズ、モンベルのペグはジュラルミン素材なのかとても軽いです。
テントの骨格にあたるポールも重さを感じます。コールマンのツーリングドームのポールを持ったときにはあまりの重さに驚きました。アライのトレックライズ全体の重さよりも重いです。
参考「登山用テントとツーリングテントの違い」
この中でツーリングテント、登山テントと使い分けています。
登山テントの特徴を述べて見ると、ツーリングテントとの違いがわかりやすいでしょう。
小型・軽量です。登山ではほとんどの荷物は自分が背負ってゆきますので出来るだけ小さく軽くします。
通気性は室内の人が酸欠にならない程度しかありません。通常登山では標高2000mから3000mの高地でテントを張ります。季節も夏だけではなく春から夏や秋にかけて3シーズンです(人によっては冬期もテント泊します)。春から初春にかけては山によってはまだ残雪がたっぷり残っていて気温が氷点下になることも珍しくありません。この様な環境では暑さ対策は不要で保温の方が重要となってきます。このため登山用のテントはベンチレーションにはあまり配慮をしていません。