平成23年度の山岳遭難の備忘録(警察庁の統計資料から)

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先日、ある登山雑誌で警視庁の山岳遭難の発生件数についての記事を読み、山と言うほどの奥深い山の無い都下でも遭難事件が発生しているので驚きました。
警察庁で、全国の山岳遭難の統計を公開しているので、それを参照に山岳遭難の備忘録を作成しました。
http://www.npa.go.jp/toukei/index.htm
http://www.npa.go.jp/safetylife/chiiki28/h23_sangakusounan.pdf

山岳遭難件数

平成23年度の統計によれば、山岳遭難の発生件数は1830件、遭難者数は2204人です。
無事に救助をされた人が1110人、負傷者が819人、死者・行くえい不明者が275人です。
都道府県別では、長野県が227件とダントツの一位、二位が北海道の138件、三位が富山県の116件です。
長野と富山が一位と三位なのは日本アルプスがあるので分かりますが、南アのある静岡や山梨では無く北海道が二位というのが注目されます。
大雪山や羅臼岳など日本百名山に選ばれている山を除くと、日高山脈を始め登山道が踏み跡程度の山が多いからかもしれません。あるいは山菜取りの路迷いでしょうか。

分析

目的別で山岳遭難を見ると、登山(ハイキング、スキー登山、沢登り、岩登りを含む)と山菜取り、茸取りで全体の90.3%を占めていると書いてあります。
付表6には細かく分類された数字が掲載されていて、狭い意味の登山が1393人で63.2%で一位、山菜・茸取りが378人で17.2%で二位です。

どの様な結果、遭難に至ったかの分析です。
一位が917人41.6%の道迷い、二位が367人16.7%の滑落、三位が317人14.4%の転倒です。
道迷いと言えば、地図を持たないで山に登る人が多いそうです。わたしも登山の途中で道を聞かれたことが何度かあります。指導標の無い分岐で行く方向が分からずに聞いてくると言うのもあるのですが、地図を持っていないのでどこをどう歩けば自分の行きたいところに行けるか全く分からないので道を聞いてくる人もいます。

遭難した人の64.5%が、主に携帯電話(無線機を含む)で救助を要請しています。
無線を除いた、携帯電話による救助は1163件、63.6%でした。
秩父山脈、北ア、中ア、南アなど日本中央部の主な山脈の携帯電話のつながり具合を昨年調べたのですが、奥深い縦走路でも、ドコモなら大抵はつながりました。auとソフトバンクはあまりつながらないみたいです。
また、北アに限った事ですが、山小屋のいくつかは、ドコモの移動基地局が設置されているので、山小屋の電気がついている間は、電話はもちろんメールやWebの閲覧などデータ通信も支障なくできます。
登山に限って言えば、ドコモの携帯電話もしくはスマートフォンが一番有用でしょう。わたしも本格的に登山を始めたときにauからドコモにキャリアを変えました。

年齢別では、60才以上の方の遭難が1118人で50.7%を占めています。
確かに、夏休みの一時期を除くと、山を歩いている人の殆どが中高年です。わたしは昭和40年生まれですが、わたしと同世代か、若い人は滅多に見かけません。歩く人の数が多ければ、遭難に遭う人も多くなるのでしょう。

東京都の山岳遭難

東京都の山と言えば、最高峰の雲取山のある奥多摩でしょう。
奥多摩の山々は、昨年、一昨年とずいぶんと歩きましたが、降雪凍結のある冬場ならともかく、春から秋にかけては危険と思われる場所は見当たりませんでしたが、資料によると、平成23年だけでも87件の山岳遭難が発生し、遭難者数は102人に上ります。死者の数が6人、行方不明者が1人、負傷者が62名です。無事に救出された人は33人しかいません。
驚くべき数字です。

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このブログ記事について

このページは、mizunumaが2013年4月26日 11:46に書いたブログ記事です。

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